新茶(しんちゃ) 初夏
【子季語】
走り茶、古茶、陳茶、茶詰
【解説】
お茶は年四回摘み取られるが、その年の最初に摘み取られるお茶を新茶という。一番茶であり、走り茶とも言う。四月の終わりから五月中頃までである。香りはよく、おいしいお茶である。静岡茶や宇治茶が有名。
 【例句】
宇治に似て山なつかしき新茶かな 
支考「梟日記」

霊前に新茶そゆるや一つまみ
浪化「喪の名残」

猟人の念仏を聞く新茶かな
麦水「葛箒」

馬繋げ新茶かほらす萱が軒
蝶夢「草根発句集」

新茶の香真昼の眠気転じたり
一茶「寛政句帖」

新茶汲むや終りの雫汲みわけて 
杉田久女「杉田久女句集」

この国に新茶を贈るよき習ひ
長谷川櫂「新年」
~きごさい~



憂 三句


古茶碗二つそろへて新茶汲む


ひとりのむ新茶の味も欠茶碗


目にうれし舌に香ばし新茶かな




語録 芭蕉
凡そ、修行は、我が得る処を養ひ、得ざる処を学ばば、次第にすすみなん。
得る処になづんで外をわすれば、終に功を成すべからず。




修行というものは、得手をのばし、不得手を補えば伸びる。
得手に溺れて不得手を勉めねば、本物にはなるまい。




よろしければ新茶で一句どうぞ。