◆ 水中花 ◆


すいちゅうか

酒中花

和紙や鉋屑などで花鳥を作り圧縮し、コップの水へ沈めて置くと次第に開き、水中にゆらぐ仕掛の玩具
妖しくもかなしい美しさである。




例句


月さすや沈みてありし水中花

普羅



蝉鳴くやこれをみやげの水中花

万太郎



水中花津軽の海をおだやかに

かな女



泡一つ抱いてはなさぬ水中花

風生



生涯に看とり幾たび水中花




ひとり居の夜は寝もやらづ水中花






俳句
自習室


◆おくの細道◆


雲厳寺

当国 雲厳寺の奥に 仏頂和尚
山居の跡あり

堅横の五尺に足らぬ草の庵むすぶもくやし
雨なかりせば と松の炭して岩に書付侍り
と いつぞや語りし給ふ

その跡見んと雲厳寺に杖曳ば
人々すすんで共にいざなひ
若き人おほく道のほど 打騒ぎて
おぼえず彼の麓にいたる

山はおくある けしきにて
谷 道遥に 松杉黒く
苔したたりて
卯月の天 今猶寒し

十景尽るところ 橋をわたりて 山門に入る
さて かの跡はいづくの ほどにやと
後の山によぢ登れば 石上の小庵 岩窟にむすびかけたり

妙禅師の死関 法雲法師の
石室をみるがごとし


木啄も庵はやぶらず夏木立

とりあへぬ一句 柱に残し侍りし


よろしければ、水中花で一句どうぞ。