ほんのわずかな… | ピナ・コラーダ飲みたい。。

ほんのわずかな…

もう5月も終わり…早いなあ。今日はメディアでも神戸がずいぶんクローズアップされてるよう…神戸市民としては嬉しい限りです。ここからわずか離れた場所でこれから盛大なパーティーを行う陣内さん、紀香さん、おめでとうございます♪ちょっと紀香さんのドレスが楽しみだったりする私★


少し前になりますが、仕事であるフラワーショップのショップカードのデザインをしました。


このお客様…素晴らしく繊細な色と、意外な花材の組み合わせが織り成すハーモニーが素晴らしい、それは素敵なお花の世界を展開されています。ウェディングのお花には定評があって、お人柄もあってか必ず幸せな花嫁さんをより幸せにしてしまうマジックをお持ちで。


そんなショップのカードデザインをさせていただくことになり、とても楽しみにしていました。


案の定、彼女のこだわりが随所に感じられ、こちらも真剣に、慎重に向かい合っての数ヶ月。通常では考えられない時間をかけてのコラボレーションでした。


出来上がったカードは、ムダをそぎ落としたいさぎよいものになりました。色もグレー一色です。


当初いくつかのデザイン提案をし、方向性は固まってきたもののなかなかこれ!というご納得がいただけなかった時、お見せしたのが一枚のカード。


それは私がデンマークのレストランから持ち帰ったもの。使用している紙が私の大好きな輸入紙で、その紙の質感を最大限に生かした、色みを極力抑えたシンプル・シックなショップカードでした。


そのイメージがお客様のお花への静かな情熱やアトリエの雰囲気と重なると感じ、紙のチョイスも含めてのご提案をしてみたところ、やっと彼女の「ピン」を引き出すことが出来たのです。


色もこの段階でグレーに決定。グレーはとてもニュートラルな色だと私は思うのです。見る人のどんな状態も受け入れ、よりそってくれるような…私も本当に好きな色の一つ。



グレー・バリエ

しかし、グレーと一口に言ってもいろいろなバリエーションが。印刷物の色出しにはよくインクで刷った「カラー・チップ」というものを添付し、出来る限り現場でその色を再現するようにするのですが、これが難しい。。。紙にのせた時、微妙に発色が変わることもあったりするのですが、お客様にお見せしたラフ案や、こういったチップの色をどこまで再現できるか、というのも印刷の技術のうちの一つといえるでしょう。


デザインワークをするパソコンのモニター、それをラフ案として出力するためのプリンター、そして最後の印刷の色…それら全てが出来るだけ似通ったものにするための調整は、いつも悩みのタネ。


特に今回は「色」にこだわりのあるお客さまなので神経を使いました。上のチップは最後の色選びに使ったもの。モニターで見るのと実際ではまた微妙に違うので、これは参考程度にしていただきたいのですが、最終案は「日本の伝統色」と「フランスの伝統色」のチップから選びました。


日本とフランスでは、グレーのバリエーションが多いのです。ほんのわずか、ちょっとした微差の中に、たくさんの色たちが…見ていても全然飽きないし、色の名前の響きの美しさにもうっとりしてしまいます。


「四十八茶、百鼠」と言われるほど、茶とグレーのバリエーションが豊富だった日本。本来、日本にはこういった微妙な色を感じ取る優れた感性が文化の中に育っていたのです…いつしかそれが鈍っているように感じるのは私だけでしょうか。自然に親しみ、四季の移り変わりを肌で感じてながら過ごしていたからこそ育っていた感性だとするなら、今の私たちの日常は忙しすぎるのかも。。。


最近、着物に興味を持つようになり、余計微妙な色の違いに敏感になりました。本当に日本の色の世界は素晴らしい!デザインをする上でもすごくプラスになっているような気がします。


ディティールを追求すると、仕事としては時間がかかりすぎてしまったり成り立たなくなるところもあるけれど、要求の高いお客様と一緒に仕事をさせていただく機会を持てて、日々忘れがちになっている仕事への丁寧さが大切だと感じたと同時に、「グレー」と呼ばれる色を見ても、そのわずかな微差を感じ取れる感性を持てるように精進しようと思います。