〔咲き競う 桜花のかほり 肌に久しき〕

あの人に逢いたい 春の日の人に 暖かな風に抱かれたいの

桜花舞う朧の宵君に抱かれ咲き誇るわれの肌

宵闇をそぞろに歩く背姿を並木の桜微笑みて舞い

重ねおふ柔らかき夜 夜桜のごときに増すは艶なる想ひ

満開の桜のもとに集いけり宴興じる想いにも似て

木漏れ日に卯月風吹き花冷えて散り行き舞うは片道の恋

桜木の華の元住む亡き人に手向けて想ふ恋せし卯月

逢いたいの あの人と出逢った春の日の風の中に抱かれたいの