Side.R




「………コーンッ…!!」


そう呼んだ君が、俺の胸に飛び込んできた。
あぁ、そうだった。
幼かった君が泣いていたのは、いつもコーンの前でだけだったね…
でも、今ここでコーンを演じることは……



「……最上さん……」


「…え…?」


名字で呼ばれて驚いた君が顔を上げた。


「…っ!…敦賀さんっ…!す…すみません、私……」


恐らくこの暗闇と弱い逆光で、コーンのシルエットに見えたんだろう。
俺を認識すると、慌てて一歩後ろに離れた君。


「あの…、どうしてここに……」


「……うん、君のことが気になって…」


さすがに様子からして、あの番組を見てしまったということだろう…。


「今日事務所に寄ったとき、偶然TVでやっていた法律番組を見てしまったんだ」


そう伝えると、それだけで表情を変えた。
やはり……。


「社長から聞いたんだけど、母親なんだろう?君の…」


「はい……。」


頷いたまま下を向いてしまったけれど、
さっきみたいに思いっきり泣いてくれていいんだよ?


「あの…でも…大丈夫です…。
昔からのことなので…」


そう言うと涙で少し腫れた目を細めて笑った。
君は、俺の前では強がって、泣いてはくれないんだね。


「……そう…」


コーンの正体も明かしていない今の俺では、これ以上深い話は聞けそうにないな…。


「最上さん、掌を見せて?」


グアムでの約束

“ソレが消えてしまう前に帰るから”

約束を果たせたか確認しようと思って、
君の右手を取ると…


「…!?…これは…」


この小さなガマ口財布は、確か…


「あ、コーンの石です…。
思わずこれだけ握って飛び出して来ちゃって…」


そう言うと何かを思い出したように固まった君…
下宿先の裏口を飛び出して、その先でアイツに会ったということか…
そして…




⇒ ACT.223 続き妄想 (3) へ続く

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まだ、続きます(_ _。)
晩ごはん作りながら何してるんだろう、私(笑)