.。.:*・゚+.。.:*・゚+.。.:*・゚+.。.:*・゚+.。.:*・゚+.
 
 
 
 
「好きだよ。」
 
 
 
「っ!?」
 
 
微かにだがそう聞き取れたキョーコは一瞬驚いたが、『これは "演技" 』そう言われたことを思い出し……
 
 
「私も……!」
 
 
振り向いて微笑んだ。
 
蓮は一瞬目を見開いた後、キョーコをぎゅっとキツく抱き締めた。
 
 
「…………何、話してるんでしょうかね?」
 
 
「さぁな。」
 
 
スタッフの呟きに黒崎はニヤリと笑みを浮かべながら答えた。
このCMの性質上、音声までは撮っていないため、少し離れた位置にいるスタッフには二人の会話までは聞き取れない。
 
蓮はキョーコの頬を両手で包み込むと、コツンとおでこを合わせた。
 
どきまぎしながら見守るスタッフ。
 
キョーコは焦点が合わないほど間近になった蓮の瞳を見つめ、思わずぎゅっと目を瞑った。
 
蓮はキョーコの唇に視線を落としたが、そのままもう一度キョーコを抱き締め直した。
 
 
「チッ。」
 
 
黒崎は思わず舌打ちをした。
 
 
「案外ヘタレてやがんなぁ、抱かれたい男殿堂入りがよぉ。」
 
 
そう黒崎が溢した言葉が聞こえたのか否か、スタッフより更に離れた場所で見ていた社も嘆息した。
 
 
「よぉし!
敦賀クンよぉ、京子のシャツ脱がしてくれ。」
 
 
「わかりました。」
 
 
いよいよ始まったかと蓮は逸る気持ちを押さえながら、ゆっくりとキョーコのシャツのボタンに手を掛けた。
 
蓮の長い指が、レディースリネンシャツの小さなボタンを器用に外していく様子を間近で見ているうちに恥ずかしくなってきたキョーコは、思わず蓮の手を握りしめた。
 
 
「じっ、自分で外せますっ///」
 
 
「……何言ってるの、最上さん。
監督の指示は、俺が脱がすこと、ね?」
 
 
「……っ、そ……うですけど……」
 
 
蓮にそう窘められ仕方なく手を離したキョーコ。
 
俯くキョーコのシャツのボタンを最後まで外していく蓮。
 
 
「何か、いい感じっすね、あの二人……。」
 
 
監督の隣に立つスタッフがそう溢すと、
 
 
「あぁ。面白い絵が撮れるぞ。」
 
 
黒崎は終始ニヤニヤと、そしてとても楽しそうにしていた。
 
 
シャツを脱がし、目の前でレスワイヤーブラ一枚の姿になるキョーコの身体を蓮は至近距離で拝むことになったが、複雑な想いからついため息が溢れた。
 
 
「はぁ~~~……。」
 
 
出来れば自分だけが見る権利を持ちたかった、焦がれ続けた相手の少しだけ大人へと成長した身体。
これを日本全国津々浦々の日本男子が目にするのかと思うと、その思いはため息にしかならなかった。
 
しかしキョーコからすれば、自分のいくつになっても貧相なままの身体つきにダメ息を付かれたと思い、先の撮影を不安に思い始めていた。
 
 
ブラ一枚での動きの多いシーンの撮影を済ませると、監督の指示は次のシーンへと入っていく。
 
 
「んじゃ京子!
レスワイヤーブラを脱ぎ着するところをワンショットで背中から撮るから、その場でゆっくり脱いでからもう一度着てくれ!」
 
 
その場で……
 
キョーコと蓮はそれぞれの思いから変な間が出来た。
 
 
「あの、俺は一度そちらへはけた方がいいですよね?」
 
 
いくらニップレスを着けていると分かっていても流石に配慮した方が良いだろうと蓮は申し出た。
 
 
「いや、そのまま京子の横で待機しててくれ!
すぐに次の絡みも撮るからな。」
 
 
それならばと、キョーコの横で腕を組み、耐える姿勢を整えた蓮。
 
 
ところがスタートがかかってもなかなか動き出さないキョーコを心配し、蓮が小声で話しかけると、
 
 
「あの、これって見えますよね……」
 
 
「え?大丈夫だよ、ビーチには誰も入ってこられないようになってるし。
スタッフもみんな後ろにいるから、君の背中しか見えない。」
 
 
「いえ、その、見えるのは、敦賀さんに…………」
 
 
「あ、あぁ。ごめんね?
やっぱり気になるよね。ニップレスしてるとはいえ……」
 
 
「えっ?」
 
 
「え?」
 
 
「ニップレス…………とは」
 
 
「えっ!?
最上さん、まさか……付けてないの?」
 
 
「何のことでしょう……?ニップ……レス……」
 
 
「………………、ここに貼るテープみたいなものだよ。
グラビア撮影なんかでは欠かせないんだけどね。
……衣装さんから指示はなかった?」
 
 
「えっと、着替えるように言われたところに確かにそれっぽいものが置いてあったような気はしますが……そもそも必要なものなのかも、その使い方も何も分からなくて……。」
 
 
「はぁ~~~……」
 
 
(全くこの娘は……)
 
 
「分かった。
俺も後ろを向いているから。」
 
 
「すみませんっ……」
 
 
海風に加えて微かに聴こえる衣擦れの音。
蓮はキョーコに背を向けたまま、目を閉じてその微かな音に耳を傾けていた。
 
 
「オッケー!カットー!」
 
 
大きく息を吐き出し、キョーコに向き直ると、先程見たままの姿に戻っていて蓮はホッとした。
 
 
「じゃあ次な!もう一度ブラを脱いで、さっきのリネンシャツを敦賀クンが京子に着せたら、あとは好きなように絡んでくれ!」
 
 
「え…………」
 
 
黒崎の言葉を聞いて蓮は驚いた。
 
それだとキョーコは素肌に真っ白のリネンシャツ一枚のみしか身に付けないことになる。
 
 
「っ……!」
 
 
慌てて監督へキョーコのニップレスのことを申し出ようとした蓮の腕を、キョーコが掴んで制止した。
 
 
「いいです、敦賀さん。
このままやりましょう。」
 
 
「いや、でも……」
 
 
「いいんです……!」
 
 
キョーコの強い意思に、蓮は根負けするしかなかった。
 
 
 
 
 

web拍手 by FC2

 


 
夏、終わってしまった・・・|д゚)チラッ
まいっかぁf(^^; 季節は関係なし!ということで。
 
まだ全く桃要素ないけど、ウチはいつ雷が落ちるかわらないという・・そうです。私が避雷神です(* ̄∇ ̄)ノハーイ
落ちたら笑っておくれ。。
 
そして後編・・まだ書いてはいないけど落ちるやも・・|д゚)チラッ。