なんてことだろうか……
俺としたことが……
 
 
 
昨日の打ち上げで普段よりはペースを上げて飲んでいた自覚はあった。
 
今回のドラマで俺は初めてベッドシーンを演じた。
相手役は以前からモデル仲間として親しくしていた大友ほのかさんだ。
 
俺がモデルデビューした頃には既に第一線で活躍していた彼女。
特に面倒見がいい訳でもないが、それでも俺の事を付かず離れずの距離で気にかけてはくれていた先輩。
 
そんな彼女とのベッドシーン。
 
 
でも俺は、あの日から衝動が抑えられなくなってきていた。
 
 
君ではない女性に触れて、触れられて…
 
でももしこのドラマの撮影期間中に君に触れてしまったら、もう役を演じられないかもしれないという不安があった。
 
君じゃなきゃ駄目だという思いが今よりもっと強くなりそうで…
 
 
だからこの、打ち上げ後をずっと狙っていた。
 
 
少しでいい。
軽く触れるだけで。
君を怖がらせない程度でいいから……
 
 
でもなんてことだ…
あろうことか、君との「初めて」の記憶が曖昧だなんてーーー
 
俺は冷静になってきた頭で状況整理を始めた。
 
ここは、君の家の君の寝室。
隣に寝ているのは紛れもなく俺の愛しい人。
 
お互い……一糸まとわぬ姿でーーー?
 
更にベッドサイドを確認すると、少しだけ開いたままのチェストの引き出し。
その上には………
見慣れないデザインの小箱と破られた空の小さな袋………
 
俺が用意していた物じゃない。
……ということは、君が?
 
すやすやとまだあどけなさを残して眠る君の顔と、チェストの上の情事の痕跡とを交互に見る。
 
 
俺は君へと長年溜め込み過ぎた想いを吐き出したのか?
君の素肌はどんなだったか…
君の中は…
 
 
いくら酔っていたとはいえ、思い出せないことがもどかしい。
 
でもこれは、どちらにしても好都合だろう。
既成事実が出来たんだ。
 
君ならきっと…
初めての人と添い遂げる。
そんなことすら思いそうじゃないか。
 
それならそれで、君の気持ちは後からでもいい…
 
 
「おはよう。」
 
 
「っ!!」
 
 
「身体…辛くない?」
 
 
「…は、はい……」
 
 
シーツに半分顔を埋めた君の髪を撫でながら、俺は真っ直ぐに君を見つめた。
 
 
「最上さん、順番が逆になってごめん…
ずっと好きだった。
付き合おう?」
 
 
大きく開いた瞳に驚きはあれど拒絶の色は感じない。
かといって、すぐに返事を貰えるとまでは思わなかった俺は、ベッド下にあった下着を身につけると、水を持ってくるねと軋むであろう君の身体を労わった。
 
 
コップに水を汲んで寝室を開けるとーーー
 
 
シーツに包まって呆然としている君。
俺はコップを置いて、君の頬に触れた。
 
 
「最上さん?…
ごめんね、俺…無理させたかな?」
 
 
覚えていないけど…
 
 
「違うんです……」
 
 
「え?」
 
 
「違うんですっ……!」
 
 
イラスト:『狭間に在る東屋』ゆるるく様より
※無断転用厳禁※
 
 
「………」
 
 
「ごめんなさい…敦賀さん…」
 
 
「………うん?」
 
 
俺は君の隣に腰掛けた。
 
 
すると、涙を流しながら事の顛末を話してくれた君……
 
なんだーーー
 
それなら覚えてなくて当然…か。
 
 
でもそんなことを謀ってまでこんなことをした君の真意は、俺と同じと思っても…いいよね?
 
 
良心の呵責に耐えかねて、今にも消えて無くなりそうな君の全てを、俺は優しく包み込んだ。
 
 
 
 

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ひゃほーい(ノ*°▽°)ノ
2周年リクというかお祝いとして頂いておりました、こちらもぐるっぽーな会議室でいつもお付き合い下さっているゆるるく様のお素敵絵もセットで出させて頂きました(`・ω・´)ゞ
お二人ともありがとうっ!ヾ(*´∀`*)ノ
 
 
さて、、
え??
この、、
続き??
続きはないのかって??|´-`)チラッ
 
そうなんですよ・・ここで終わって、あとオマケでもちょろっと・・と思ってたはずが、
肝心のキョコさんの謀の理由に何も触れてなくて・・Σ( ̄ロ ̄lll)ガーン(←とはいえ理由には何も捻りなどないのでスルーでもいいんですが・・)
一応・・続きも考えてるよ、、|ωΦ*)コソーリ・・・
ただまだ出来てないのでどう進むか分からず・・表で出せないシロモノになったらゴメンナサイ・・(。-人-。)