日本にいるときは平凡なサラリーマンだった。同僚や先輩は優等生タイプが多く、仕事もプライベートもそつなく無難にこなしているが、個性の強い人はそれほど多くなかった。

タイに移り住むと、バンコクやチェンマイ・チェンライで多くの日本人と知り合った。彼らに共通して言えることは、生活力・生命力の強い人が多いということだ。語学力に長けている、バイクの運転が上手い、農業知識に秀でている、PCに詳しい、株を始めとした金融知識が豊富、ハイソ階級との太いコネクションを有している……これらの才能を活かし、何人かは会社を興している。行動力があるのも、彼らの特徴だ。私なら他人に頼んでしまうようなことでも、自分でやってしまう人が多い。

それでも、バンコクで知り合った人は堅実な方が多い。現在付き合いのある方々は、全員ノンイミグラントビザを所有しており、きちんとした立場で長期滞在をされている。自営業者も含めて、収入は一定水準をキープしている。一方、北タイで知り合った人は個性の塊のような方が多い。悪く言えば「あくが強い」のだ。付き合うのが難しい人も多い。とはいえ、一芸に奏でているのも事実なので、それはそれで敬意を表す必要もあるだろう。

さて、自分を見つめる。中途半端なタイ語能力以外、これといった長所はない。不器用な人生を歩んでいる。そんな私は、彼らをうらやましいと思っている。