「少し予定と違うけれど…クリスマスプレゼント、もらうね?」
「…え?」
「こんな車内で…なんて、ロマンチックじゃないけれど。でも…可愛い君が悪いんだ。」
にやりと笑うは夜の帝王。…会いたくないけれど…どこかで、会いたかった私の苦手なヒト……。
「…れん…。」
「…キョーコ。」
そっと名前を囁き合って…そして始まった長くて熱いキスは。神聖な夜には相応しくなく…。
でも、その息がとまって酸欠を起こすほどの深いキスは、心の中の何かが満たされて、不思議な甘みを感じる、口付けだった。
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「…んぅ…」
長いキスから始まったその日のデートは、結局彼の家に行って、私の作ったご飯を食べる、という、ニ週間前に過ごした、普段の私達と変わらないものだった。
でも、その合間に交わされる口付けと、呼び合う名前だけがいつもと違っていて……。
何度目になるのかも忘れたキスの後に、彼は優しく微笑んで、
「18歳の誕生日。おめでとう、キョーコ。」
熱くて深いキスの余韻で呆けている私に祝福の言葉を述べた。
生理的に流れ出た涙でぼんやりとした視界に、彼のリビングルームにあるデジタル時計の表示が映る。時間はちょうど12時。
「…生まれてきてくれて、ありがとう。…キョーコ。」
そして、お礼の言葉と共にまるで私を宝物のようにその長い腕の中に抱え直す彼…。
「ありがとう、ございます……。」
そんな彼の上着を掴み、私もお礼を口にする。
神様。彼を…あなたの愛した美しいこの人を、この世に遣わせてくれてありがとう。
私はこの人に相応しい人間になれるように、精一杯努力します。この人が与えてくれる愛情に相応しい存在になれるように、努力しますから。
だから……
「…もう一回。」
「…はい。」
神への感謝の祈りと誓いをたてる私の額に、彼はそっと口付けた。そして、私がゆっくりと瞳を開くと、お菓子をねだる少年のような可愛らしい表情でキスをせがむ。
了承の返事と共に瞳を閉じると、「クスクス…」と嬉しそうに笑う声がした後に…。
「んっ……」
再び熱い唇が、私の震える唇に、触れた。
(メリークリスマス&ハッピーバースデーFIN)