香川県立津田病院で一九九一年十二月、出産時の処置の遅れで男児に重度の脳性まひが残る医療事故があり、県は十七日までに、高松地裁に提訴していた男児と両親に七千五百万円を支払うことで和解する方針を固めた。十一月定例議会に関連議案を提出し、議決を得た上で正式に和解する見通し。

 訴状によると、母親は九一年十二月中旬、骨盤位(逆子)の状態で出産予定日を過ぎて津田病院に入院。慎重な経過観察が必要だったにもかかわらず、病院は専門家による分娩(ぶんべん)監視を怠り、胎児の心拍数が低下する仮死の兆候を早期発見できなかった。さらに、緊急手術の準備も整えていなかったため帝王切開の手術が遅れ、出産した男児に重度の脳性まひが残ったという。

 男児と両親は二〇〇二年五月、県を相手取り、二億千二百九十万円の損害賠償を求めて高松地裁に提訴。県は当初は争う姿勢を示していたが、今年八月になり地裁から和解の勧告が出されていた。県は「病院に一定の過失が確認された。原告の事情も勘案し、早期解決が望ましいと判断した」としている。

 責任の明確化をめぐっては、県は当時の主治医が転出しており、重過失でないことを理由に処分は行わないという。

重過失ではないのに、7500万円の支払いですか。終わってますね。

いったい7500万円というのは、どこの責任に対してなんでしょうか。

主治医の処分がないとするなら、病院の責任ですか?

十分な医師を確保していなかった病院の責任とするなら、ほとんどすべての

病院が産科から撤退しなければなりませんね。

日本の医療技術の進歩、そして何より産科医の命を削る努力によって

日本の新生児死亡率は、世界で最も低い数値となっています。

しかし、国民のほとんど、そしてたちの悪いことに政府そのものが

出産自体を安全なものだと勘違いするようになってしまいました。

その結果、出産における死亡や、重度な障害が残った場合、新生児の

生命予後が長いことを理由に、破格の賠償金を請求されるように

なってしまいました。

「おめでたいこと」に関われるのは、医師の中でも産科医だけでは

ないでしょうか。そういう意味で、産科というのは非常にやりがいの

ある診療科目だと思います。

労働環境を抜きにすれば、産科というのも非常に魅力的だと思いますし、

少なくとも私が大学入学したころであれば、産科も選択肢のひとつだった

でしょう。

しかし、医療に素人の司法・警察が介入し始め、産科医の生涯訴訟率が

5割にもなろうかという現状で、産科を選ぶ勇気は私にはありません。