さて、みなさんはブラインドタッチというのをご存知ですか。

って、わざわざ聞くほどのことでもありませんね。


数年前、友人に

「ブラインドタッチできる?」

って聞いたら、

「え?できるとかそういう問題?」

と聞き返されました。


・・・どうやら、その友人は


ブラインドタッチ

イコール

裕次郎が窓のブラインドに指をひっかける

ことだと思っていたようです。

まぁ、裕次郎でもユウタロウでもどっちでもいいんですが。



そんな一件があって以来、私は

おいそれと、ブラインドタッチという言葉を

口にできなくなってしまいました。


また相手がゆうたろうの話を持ち出したらどうしよう。


そんなトラウマを負ってしまったのです。




まぁ、それはさておき。

今回は、そのブラインドタッチのことで一席。


みなさんの病院では電子カルテというものが

導入されているでしょうか。

我が僻地研修病院にも、電子化の波が押しよせて

きておりまして、一丁前にも電子カルテを

使わせていただいております。


そんな電子カルテで非常に重要になってくるのが

ブラインドタッチ

≠ゆうたろう

しつこいか。



≠って「イコール」を変換すると出るんですね。

まじめに「ノットイコール」から変換しようとしてしまいました。




・・・本題に戻りますが、そのブラインドタッチなるもの、

結構みなさん出来ないものなんですね。

私は大学時代に専門のソフトを使ってマスターしたのですが、

上の先生方はもちろん、同じくらいの年齢の人でも

できなかったりします。


そういう人が電子カルテに向かっていると、なんだか

かわいそうになってきてしまいます。

というか、


能率が悪い!!! 


画面を見ずに打ち続けるものだから、途中で誤字があっても

全然気がつかない。すごい長い文章を一度に打ち終わってから

画面をやっと確認して、最初のほうに誤字があろうものなら

バックスペースで全部消していって、また最初からやり直し・・・


おぉ、なんて石器時代なんだ・・・


そうかと思えば、また画面を見ずに長文を打ち続ける先生。

その後ろに立って見学している私の目には、


kinniyorisyoukaisare


という文字列・・・先生、カナ入力になってないです。



ええ、私は「kinni」くらいで異変に気付いているんですよ。

でも、なんて言っていいかわからないじゃないですか。

そんなこと指摘して気まずい雰囲気になるのも嫌だし、


「ひょっとしたら、私の知らないドイツ語とかギリシャ語?」


なんてこともあるかもしれないし。



そんなわけで、電子カルテの恩恵が半減している現状を目の当たりに

しています。

まぁ、それでも何とか対応している先生方はおられるわけで、

そういう先生方は独特なタッチをされています。


ほとんどの文字を右手の人差し指で打ちつづけ、「A」とか「S」の

あたりの出番になると、颯爽と左人差し指が登場。

しかも、そのタッチのスピードが結構速い。

逆に難しいんじゃないかってくらいの奇妙なタッチ技術だったりします。


うーん、電子カルテ導入はいいんだけど、

まずはドクターサイドのブラインドタッチを何とかするほうが

先決じゃないかなぁ。


研修医の間ではすこぶる評判がいいんですけどね、電子カルテ。

紙カルテに踊る上級医の古代文字を解読しなくて済みますから。




ただ、近隣の個人病院から送られてくる紹介状は曲者です。

パピルスに踊る、その象形文字を解読できる人間は

誰一人おらず、その古文書を受け取った上級医の先生は


「あー」


と一瞥をくれただけで、解読を諦めてしまいます。


当然わたしのように専門用語そのものの知識すら乏しい

人間には、とても手の出る代物ではございませんから、

結局、患者さん本人から問診するしかないのです。



んー、「言い伝え」っていうのは、こうやって継承されて

きたんでしょうねぇ。