ようこそ、毒魔女図書館へ。
毒母から、慌てた様子でSOSがあった。
高齢者の緊急事態に、
朝から緊張感が走る。
毒母は眉を寄せ、声を潜めるや、
「家の裏で猫が死んでる」
まじで?
嫌な気分で現場を覗くと、
黒っぽい荒い毛並みの猫が、
ひっくり返っている。
まじかー
顔が見えないのが幸い。
うえー
最悪
以前、知人家で、野良ネコがご臨終になっていた。
どうすれば良いのかと、
役所に電話をかけたところ、
燃えるゴミの袋に入れて出してください
と言われたそうで。
まじかよ
誰が入れるんだよ
どこかで飼い主が探している場合も考え、
保健所にも連絡した方が良いだろうか。
それにしても、
日中の気温で腐敗が進むだろうし、
とにかく、新聞に包んで遺体処理をするべきか。
素手では触れない。
ゴム手袋?
手触り、どうよ
いやいや、スコップで持ち上げようか。
いやー、一気に手でやるべきか。
仕方あるまい……うぅぅぅ
いざ、
と思って、ゴム手袋装備で現場に踏み込んだ瞬間、
ミャー
むくっと、上半身だけ起き上がり、
黄色い目がコチラをむいた。
お前、生きとるやないか
変な恰好で寝るの、止めてー