ようこそ、毒魔女図書館へ。

 

足の指で器用に包丁を持ち、

トントンと野菜を切ったり、

日常生活を見事に足だけでこなしている女性の映画。

 

典子は今

 

ヒロインには両手がなかった。

子供の頃、

とても衝撃的に記憶に残っている。

 

昭和56年作。

監督は高峰秀子のオット、松山善三だったと、今知る。

 

 

 

 

何かしらの障害と共に生きる女性。

まだ若く、生き生きとして、

普通の女子である気持ちは、みんな同じ。

 

タブーとされやすい、障害と性の部分も、

誤解されずに描いてあった。

 

37セカンズ

 

 

ヒロインオーディションは、

身体障害を持つ女性100人から選ばれたそうだ。

桂山明

 

オーディション会場で、彼女雰囲気、か細い声を聞いた途端、

審査員たちに衝撃が走り、

元々の脚本を、ほぼ書き換えてでも、

彼女に決めた理由が、映画を見ると納得できる。

 

 

20代の主人公は、

体は女性の膨らみを持ちながら、

母親の固いシールドの中で生きている。

その檻をぶち壊し、

外の世界へ一歩踏み出していく。

 

その手助けをするのが、

歌舞伎町でデリヘルとして働く女性や、

そのドライバーである青年。

これを、大東駿介にやらせるんだから、

そりゃ清々しい。

 

 

男性未体験のヒロインは、

最終的に、デリヘルを頼むのだが、

いざという時に、

便失禁をしてしまう。

 

「うわ、マジで、やべー」

と、飛び跳ねて、

シャワーを浴びにいくデリヘル男子。

萎えているヒロインの細い足がとても切ない。

きっと、そういうことはあるのだろう。

そこをあえて描く、のは、

女性ならではの視点だと感じた。

注目の女性監督。HIKARI。

 

まだ日本ではあまり知られていない監督だが、

映画界では絶賛されている。

証拠に、キャストがすごい。

ヒロインの母親役も、よく見る女優さんだし、

ヒロインを助けるキャバ嬢の渡辺真紀子にしても、

ちょっと出てくる、

キャバクラの宣伝男も、ヒゲの渋川清彦だし、

板谷由香や大東駿介、尾美としのり、石橋しずかなどなど、

ちょい役なのに、続々登場する。

 

 

長年、母親の庇護の中で、

生きてきた障害のある女性だから、

一歩間違うと、大惨事になる恐れもあるが、

映画の登場人物たちは皆、愛に溢れている。

ちょっと出来過ぎな感も、少々あるのだが、

爽快な読後感はお墨付き。