閉じ師を名乗る男性、宗像草太と、女子高生岩戸鈴芽のファンタジーな話。
ネタバレ感想。
最初に、廃墟で小さいくさびのような要石(かなめいし)を主人公、すずめが抜いたせいで、石だった猫みたいな生き物が自由に動き回り、地震のもと? になるでっかい赤黒いミミズが見えるように。
白猫の姿になった要石は、X(ツイッターがモデルらしいSNS)で「ダイジン」と名付けられながら、あっちこっち走りまわり、電車に乗り、九州からどんどん東のほうへ。
最初はただの石が、猫になり、名前をつけられ、存在を認められると生き生きして、パワーアップするかのように体力をどんどん得ていくように見えた。
でも、すずめが拒絶したとたん、やせほそった野良猫みたいに姿を変えてしまう。
ダイジンがすずめを「好き」なのは、誰も知らない存在だった自分に食べ物(お供えか?)をくれたからかな。
一方、要石のままにしておきたい、ダイジンにとっては自分を不自由なままにしておきたい草太。
いきなり小さな3本脚の、すずめのお母さんが幼少期にDYIでつくってくれたいすに姿を変えられてしまう。
閉じ師いわく、「神様」なのか。あの猫。
よーく見るしっぽのさきがふたつに別れているので猫又っぽい。けど、眼がぎょろっと大きくなったり、触れてはならない、かかわったらたたられそうな危険な一面も。
最初に寝ていたすずめの部屋に、なぜか黄色い蝶が2匹飛んでいた。
話の後半、あの黄色の蝶2匹が出てきて、すずめが見た、後ろ戸の中の世界(常世だった)とか。あの蝶は……亡くなった(父親のことは劇中ではよくわからないが)すずめのお母さんや、会えないお父さんの隠喩なのかな。
すずめを引き取った叔母さんが、黒い猫(サダイジン=左大臣? )が出てきたとたん、自分の中にある、親らしくない気持ち(婚活できなかった、とか、すずめがいるから家に人も呼べなくなった、とか)一気に吐き出していたけど、
ああいう風に、親の立場の人が子に向かって言ってはいけないことを面と向かって言ってしまうのって、現実にありそう。昔話題になったよね、「毒親」とかさ。
要石を追いかけて、草太を人間に戻す旅でもあるけど、叔母さんに家出や、ネットで知り合った好きになった男性に会いに行こうとしてると誤解されつつ、
すずめが過去の悲しい思い出を掘り起こすことに。
でっかいミミズが破裂して、雨のような水滴が落ちてくるシーンを見て、ちょっとシン・エヴァンゲリオンっぽいなと思った。あの水滴赤かったら使徒が倒されたときに似てない? 笑
それと、新海監督は、空を薄い紫とか淡いピンクとか、星とか、すごいきれいな色で、実際にあんな風景をどこかで見ていそうなのに、現実の空にはなさそうな色で空の色を表現するの好きなのでしょうか。そうなんでしょうね。(勝手な決めつけ)
ひとつ気になったのは、番組の最初に、地震の警報音が流れるシーンがありますって注意勧告。
あれって、なんで「番組概要」にのってないんだろう? 番組の途中から見る視聴者だっているはずなのに。
東日本大震災のことを忘れないでほしいってメッセージだととらえました。