ものしり百科

本文です

賞状に「句読点」がないのは?


賞状に句読点がないのはどうしてですか。教えてください。

(青森県・モアイ)

「毛筆」を用いる文化では「句読点を付けない」のが「慣習」


 「句点」とは「文が終わった」印として付けられる「。」であり、「読点」とは「意味の切れ目」を示す為に文中に施される「、」です。つまり「句読点」とは、「文脈」を明確にしたり「読みやすさ」と意味の正確な「理解」を助ける目的で用いられる「符号」ということになるのですが、確かに「句読点」の付いた「賞状」というのは見かけないですよね。

 「タカ印紙製品」ブランドの「賞状」を製造販売している「ササガワ」の話によると、その起源は、古来からの「毛筆を用いる文化」に発祥し、宮中行事の「神文」、天皇や将軍の意向や決定を伝える「下知」を始め、あらゆる「書き物」の文面において「句読点を付けない」という「慣習」があり、文脈が理解しがたい部分に限っては「字間を一字空けたり、改行していた」ことに由来する…とのことです。

 さらに、「明治時代」に入って「欧米の文化や習慣」が次々と取り入れられ「あらゆる文面」の書式においても「欧文の句読点」である「,(カンマ)」「.(ピリオド)」の導入が検討された際や、その後において「日本式の句読点」である「、」「。」の統一表記が決定された際にも、「表彰状」や「感謝状」の文言に限っては…「本来は表彰する相手を敬って手渡すものであり、従来付いていない句読点を改めて付けるということは相手を見下す…つまり、句読点を付けないと読めない…ということになって、表彰する目的からはそぐわない」という理由から、以後も従来通り「句読点は付けない」ことにしたという経緯があったようです。

 ちなみに、「文部科学省」編集「公文書の書式と文例」や「官公庁」の表彰状や感謝状作成の「書式マニュアル」においても、「表彰状」や「感謝状」の「本文」には「句読点を付けない」と明記されています。