肥満かどうかは「ウエスト÷ヒップ」で見分ける

本当の肥満だと体にいろいろ問題が出てくるが、肥満でないのに肥満だと思っている人も意外に多い。肥満というのは、体脂肪が体重に対して30%以上を占めている場合をいう。

肥満には、リンゴ型と洋ナシ型がある。リンゴ型は内臓に脂肪が蓄積されることにより、ウエストが太くなり、いろいろ疾患の原因になることが多い。しかし、洋ナシ型はヒップの方に脂肪が多くつく、これは体力に余力があるという証明でもある。

肥満の基準を出すにはいろいろな方法があるが、日本で今までよく使われてきた、身長から100を引き、それに0.9をかけて算出する標準体重は、正確ではないことが最近分かったそうである。

現在ではBMI(ボディー・マス・インデックス)という体重基準が適用されている。これは、身長をメートルに換算したものを2回かけて、それにさらに、22(日本人の場合)をかけて標準体重を算出する方法である。つまり、160センチメートルだと、1.60を二乗し、それに22をかければ自分の標準体重が得られる。これのプラス、マイナス10%以内であればよいとされている。

ただし、これでは骨がしっかりしている人の場合、オーバーしてしまう。そこで、余分な脂肪を測定する方法として、ウエストをヒップで割った数値が肥満の一つの目安として用いられる。

ウエスト÷ヒップ=0.7が標準であり、これが0.85以上になると肥満となる。この方法だと、ウエストがかなり大きくて、見かけが肥満のようであっても、ヒップがウエスト以上にしっかりと大きければ、数値は小さくなるので問題はないわけだ。つまり、見かけで肥満か痩せかは決められないということである。

逆に、見かけはそれほど太っているように見えなくても、ウエストに脂肪がつき、ヒップが小さい場合、0.85以上の数字が出ることが多い。これは“痩せの肥満”である。

“痩せの肥満”は一見、ほっそりしていて、人にうらやましがられるが、実際は危険なプロポーションである。実は、若い女性にはこれが多くみられる。

ウエストに対してヒップが小さいと、なぜいけないか。それは、ヒップに脂肪が多くついていないと、余分の体力が保たれていないということになるからだ、反対に、ヒップが大きいと言うことは、病気をした場合、体力を消耗しても、ヒップに蓄えられている脂肪分がエネルギーを供給し、体力を保たせるのに大きな役割を持つ。アフリカでは、ヒップがいかに大きいかを美人の基準とする民族もあるようだ。

つまり、ヒップが大きいほど出産などが軽く、また、病気にもかかりにくいし、病気になっても治りやすいのである。実際に、病院では、かなり重傷の人であっても、ヒップが大きい場合、助かる率は非常に高いといわれている。体力に余力があるからだ。

反対に、ヒップが小さい場合には、それほど重傷でなくても体力的に余力がないのでかなり危険視される場合がある。

ヒップを健康的に大きくするには、どのような方法があるだろうか。それには運動するとよい。運動といっても過激な運動ということではない。少し多めに歩けばよいのである。運動しないとウエストの方に脂肪がつきやすい。反対に、よく歩けばヒップの方に脂肪分がつく。その理由は、歩くことは足への負担が大きいから、それに耐えられるだけのエネルギーがヒップに蓄えられるからである。