「よく噛むと太らない」のは、口中でこんな栄養変化が起こっているから

日本食では、米などのデンプン食品が主食である。米のような粒状のものは、よく砕く必要があるので、口中でよく噛むことが大切になってくる。よく噛むことで、デンプン質が唾液と混ぜ合わされると、アミラーゼという糖化酵素が働いて多量の糖分ができる。つまり、ご飯のデンプンが分解して、糖分になるのである。

唾液の中には、非常に強力なデンプン分解酵素であるアミラーゼが含まれている。煮てノリ状にしたデンプンを試験管に入れて、それに唾液を混ぜると、非常に短時間に液状となり、さらに糖分ができる。生のデンプンの場合、ヨードと反応させると濃い紫色になるが、分解して糖になったデンプンは、ヨード反応の濃い紫色が出ない。このような実験では、非常に短時間で唾液によってデンプンが分解されるのが分かる。つまり、よく噛んで食べると、口の中で、すでにかなりの糖分ができているわけだ。

さらに、唾液がよく混ざると、食べたご飯の量が倍以上に増えるために、胃に対する満足感が早く現れる。そして、胃に入った糖分を多く含むご飯は、速やかに血液中に吸収される。その結果、血液中の糖分は上がっていく。血液中の糖分の濃度が一定以上の濃度になると、満足感が出て、満腹感も生じる。そのために食べ過ぎないようにブレーキがかかっていくのである。

早飯の人を見ていると、どんどんご飯をかき込んでいくので、短時間にかなりの量を食べてしまう。これでは胃袋がある程度満足感を感じるまでに、相当の量のご飯を食べてしまうだろう。つまり、早飯は肥満につながるといってもよい。

一方、よく噛んで食べる場合には、それほどの量を食べることはできない。

ダイエットする場合にも、このような方法で、十分食べたという満足感を得ながら減食するとひもじい思いをしなくて、減量に成功しやすい。