ペタしてね カロリーを効率よく消費するには「話ができる速度で歩く」のが一番

ダイエットの一つの方法として、ジョギングなどをする人がいる。しかし、ジョギングは意外に激しい運動なので、かえって身を滅ぼすことになる場合が多い。実は、運動の中で死亡率が最も高いのがジョギングなのである。また、二番目に死亡率が高いのはゴルフである。

肥満している場合、ジョギングは体に大きな負担をかける。本人はそれほどに思っていなくても、体に含まれる体脂肪の比率が高いと、その分筋肉は少ないから、軽いジョギングのつもりでも、心臓にとっては大きな負担になることがしばしばある。これが死亡率を高めている原因なのである。

また、ゴルフでの死因は山で遭難するようなものである。初心者が山に登る場合、休まないで自分のペースに合わせ、ゆっくり歩いていくことが遭難を防ぐ方法であるといわれる。反対に、しばしば休息を取ると、心臓にかえって大きな負担をかけ、これが遭難につながるのである。ゴルフのまったく同じで、ホールからホールへと歩く時間はそれほど長くない。しかし、立ち止まり、緊張して玉を打つときに、血圧は急速に上昇する。これが死因につながるのである。

では、どのような運動が体脂肪を減らすのに有効なのだろうか。それは、できるだけ連続してゆっくり歩くということである。しかし、あまりゆっくりでは高価がない。その速さは、以前は、少し汗ばむ程度といわれていたが、現在は、それよりももっと減速した方がよいということが確認されている。

できれば年齢が近い人、あるいはほぼ同体力の人と2人以上で歩くことが大切だ。そして、ポツポツとお互いに話しをしながら歩ける程度のスピードというのが、もっともよい方法である。夫婦であれば、2人でしゃべりながら歩くとよい。

しゃべることができるという状態は、息が弾まず、しゃべる余裕があるということで、その程度の速度が適当だということだ。汗ばむくらいだと、おしゃべりするどころではなく、あまり感心できない。また、1人で歩くと、スピードを出しすぎて、黙々と強引に歩くことになり、心臓に大きな負担をかけることになる。

歩くことによって体脂肪が減少するのは、15分以上連続して歩いたときである。最初の15分は血液中に含まれているブドウ糖などの糖分がまず燃焼する。15分を経過したあたりから体脂肪が血液中に出てきて、これが糖分に代わり、さらにエネルギー化して消費されていくのである。したがって、体脂肪を消費するためには、15分以上歩く機会がどれだけあるかということが重要である。これは一日の歩行数とはあまり関係がない。連続歩行が何歩以上であるかということが大きなポイントである。

病院の看護婦さんが歩行計をつけてみたところ、一日に2万5千歩程度歩いていたという。勤務が終わったときには、へとへとに疲れている。それは短距離を断続的に、繰り返し歩いていたからだ。同じ2万5千歩でも、連続して歩いたときとまったく違う状況なのである。

連続歩行で一日に8千歩以上歩けば、高血圧や糖尿病に大きな効用があることが認められているが、なかなか実行しにくい面がある。そこで試してみたが、最低一週間に一回、連続して2万歩程度歩くことによって、普段の歩行不足はかなりカバーできるようである。大体30分で4千歩であるから、2万歩というのは連続して2時間半程度歩くことで達成できる。

ただし、まったく目標もなしに歩くのはかなりつらいことである。そこで仲のよい友人や夫婦で、どこか行ってみたいところを定めてそれに向かって連続して一週間に一回歩くということが大きな効果をもたらす。

こうして一週間に一回でも努力して歩くと、今までに忙しいと行っていけなかったところにも行くことができ、また、楽しみながらいろいろな発見をすることができる。人生にとっても大きなプラスになるので、大いにお勧めしたいところである。

ところで、この歩くという行動は、特に男性の肥満に対して大きな効果を発揮するようだ。というのも、男性の肥満はリンゴ型といわれる、腹の部分が太くなる太り方が主流である。これは、内臓脂肪が多くついているという信号であり、病気を引き起こしやすい危険な肥満である。内臓脂肪は、運動することでエネルギーに変わりやすい。これは、人類の生活で、過去に、主として男性が狩猟中心に食べ物を入手していたからと考えられている。つまり、山や谷を駆けめぐって狩猟するためには、何日も体力を落とさずに歩き回れる体になる必要があった。このような人類の歴史により積み上げられた体質は、近代的な生活になっても急速に変化するものではなく、運動量の少なくなった現代の生活では、ある程度努力しなくては消費エネルギーを大きくすることはできない。その点からも、歩いてエネルギーを消費することが大切である。