円安よりインフレを警戒すべきだろう | Mr.Gの気まぐれ投資コラム

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50代グダグダちょい悪おやじMr.Gの趣味と海外投資に関するコラムです。
香港を拠点に活動する個人投資家であり、自称「投資戦略予報士」Mr.Gがお伝えする海外投資の生情報。
ねだるな勝ち取れ、さすれば与えられん!

今は、過去40年くらいを振り返っても、明らかに円安で、同時に物価はインフレだ。

しかしインフレは世界中で起こっていて、日本だけが円安のせいでインフレを被っているわけではない。

 

むしろ、日本のインフレは過去30年間起こっていなかった為に、海外の物価とのインフレ格差は広がったままであり、インフレどころかデフレだった為、賃金も当然上がってはいない。

 

日本に住み、仕事をして日本円で生活している人々にとって、実際には為替などどうでも良く、円建ての物価と賃金が見合っていればだれも文句は言わない。

円建てで物価が上がった分だけ、円建ての給与も上がればよいだけの話なのだ。

 

しかし、残念ながら景気の上昇と連動していない原材料やエネルギー価格高騰によるインフレの結果、企業には賃上げの体力はない。

 

その諸悪の根源を、円安に持ってくるのが簡単だからなのか、最近は報道がドル円の為替レートばかりにフォーカスしがちで、為替や円安というものに我々は振り回されているように感じる。

 

振り返ってみると、バブル真っ盛りの1980~1985年のドル円為替レートは、1USドル=200円オーバーで、ピークは1982年の1USドル=249円だった。

 

 

※FLAT35固定金利の推移

 

ちなみに住宅ローンの金利は8%を超えている時もあった。

 

大卒の初任給は20万円に満たないのが普通だったが、残業代は無限に出て日本のサラリーマンは24時間働いていており、物価はそれほど高くなかったので2,000円~3,000円くらいで十分飲み食いができて楽しかったし、経済は潤っていて人々の生活は今よりも豊かだったように思う。

 

ただ、輸入ブランドの内外価格差は大きく、1984年に発売された初代バーキンの価格は50万円くらいだったようだが、この1USドル=200円を超える円安でも海外のブランド店に日本人が行列を成してひんしゅくを買っていた。

 

1USドル=150円という円安は、33年ぶりといわれているが、1986年に円が1USドル=200円台から160円台に急騰してから以降、1990年の144.8円をピークにそれ以上の円安になることなく今に至っている。

 

特に、振り返ってみると超円高だったのは1995年の1USドル=94円と、2012年の1USドル=79.8円が顕著であり、その2年だけが突出して円高だった。

 

30年間でその突出した円高だったこの2年を除けば、おおよそ平均は1USドル=110円くらいだったが、それは見事にインフレが発生しないように調整された、今から思えば円高の為替レートだった。

 

日銀による金利の公開市場操作が始まったのが1995年、ゼロ金利政策が始まったのが1999年で、2001年以降は今に至るまで低金利誘導による市場への資金供給を推進する「量的緩和政策」が継続されているが、過去30年間は経済成長を促すことができなかった。

 

アメリカでも毎年平均2%程度のインフレが過去20年続いていたのに、日本はゼロインフレのおかげでゼロ賃金上昇だったにも関わらず普通に生活できた。

 

海外のラーメンの値段を基準に考えると、今の日本のラーメンは1,000円くらいだが、海外では1ドル=150円では2,000円から3,000円するので、もし1USドル=100円くらいなら日本と外国のラーメンの値段はほぼ同じ感じになるが、日本のラーメンの値段が値上がりして1,500円くらいしてもおかしくはない。

 

外人からすれば、日本のラーメン(だけではないが)は安すぎる。

外国人観光客にだけ、特別消費税として50%くらい課税してちょうど良いくらいだ。

 

もし、来年から全国のラーメン店が現実に起こっているであろう輸入食材のコストアップにより、一気に2,000円とかになった場合、今の日本人はラーメンを今まで通り食べるのであろうか?

 

もし、そんな高いラーメンを誰も食べなくなると、ラーメン屋はどんどん潰れてしまう。

 

値上げしなくても、コスト高によって利益は確実に減り、人件費を上げれないので従業員は雇えず、やはり潰れてしまう。

 

これが、いわゆるインフレ倒産だ。

 

インフレの恐ろしいところは、全体として景気が良くなっていないのにインフレが進んだ場合には、値上げもできず、賃金も上がらず、売り上げも上がらず、インフレ倒産の嵐になる。

 

この状況を一時的にでも救済するためには、BI(ベーシックインカム)的なバラマキと減税が有効だが、それは結果として更にインフレを加速させるという逆効果がある。

 

全ての消費財や食品や家畜飼料やエネルギーを国内で賄えなず、貿易によって成り立っている日本経済は、為替の影響を多分に受けるし、円が安くなれば当然インフレは加速する。

 

しかし、問題の根本は、日本の経済が成長しておらず、成長を伴った健全なインフレではない、悪いインフレが進行していることであり、これに低金利政策による対外金利格差だけが原因でなく起こっている円安が更に追い打ちをかけているに過ぎない。

 

政府による為替の誘導には限界が有り、為替を円高誘導することによってこのインフレを収束させることは難しい。

 

それが分かっているから財務省も為替介入に踏み切らないのかもしれない。

 

元凶であるインフレを抑制するための一般的な政策は、金利を引き上げることによって金融引き締めを行うことだが、過去20年間にデフレから脱却するためにその逆の金融緩和を行ってきたにも関わらずインフレ誘導できなかったことを考えると、金利を上げてもインフレは抑制できないかもしれない。

だからといって、日銀が公然と金融緩和の継続を世界に公表しているのはどうかとは思う。

 

アメリカのインフレは、ラーメンの価格だけをみても半端ないが、あれだけ金利を上げて金融引き締めを実行し続けても実際のインフレは収まる気配が見えない。

 

金利を上げ続けるわけにもいかないので、どこかで止めなければならないだろうが、インフレは経済を崩壊させる恐れがあるので他の打つ手を考えなければならない。

 

アメリカは世界のどこかで介入可能な紛争が起これば、ドル高も維持できるだろうし、景気も改善可能だろうが、日本はいったいどうするのだろう。

 

日本にしかない、なにかGNドライブのような革新的な技術を基にした人類史上最強の兵器でもあって、平和維持の為に片っ端から武力介入でもすれば超円高になるかもしれないが、そんなことはアニメですらあり得ない。

 

感覚的には、日本でのインフレは海外と比較すれば日本円でまだ100%くらい(物価が倍くらい)の伸びしろがあるように思う。

 

ただ、もしドル円が1ドル=250円くらいになったとしても、日経平均が倍になることはないように思われる。

 

一般市民が、インフレに備えてできることは投資ぐらいしかないが、こんな日本で弱まっていく日本円で投資をしていても、インフレに対抗することなどとても無理だ、

私なら、少なくとも税金を強制的に徴収されないタックスヘイブンでUSドルで投資をするだろう。

 

”未曾有のインフレと円安に我々はどう備えるべきか?” | Mr.Gの気まぐれ投資コラム (ameblo.jp)