資本主義を破壊する最善の方法は、通貨を堕落させることだ | Mr.Gの気まぐれ投資コラム

Mr.Gの気まぐれ投資コラム

50代グダグダちょい悪おやじMr.Gの趣味と海外投資に関するコラムです。
香港を拠点に活動する個人投資家であり、自称「投資戦略予報士」Mr.Gがお伝えする海外投資の生情報。
ねだるな勝ち取れ、さすれば与えられん!

 

ウクライナ情勢が緊迫の度を増すなかで、およそ100年前にロシア革命を指導したレーニンが語ったとされる言葉を思い出した。「資本主義を破壊する最善の方法は、通貨を堕落させることだ」

 

この至言を世に知らしめたのは英国の経済学者ケインズである。

 

2年前から警鐘を鳴らし続けているが、結局のところ我々の直面している最も深刻な問題はインフレなのかもしれない。

 

陰謀説というわけではないが、ロシアのプーチンがウクライナに侵攻した目的は、単に領土や軍事バランス的な問題というわけでも、プーチンの頭がおかしくなったわけでもなく、緻密に計算されたアメリカ主導の資本主義経済への挑戦とその破壊だったように思える。

 

イスラエルによるパレスチナ侵攻は、プーチンとロシア同様にイスラエルやユダヤ人が世界中から目の敵にされることがわかっていてやっているが、それは資本主義の破壊が目的ではない。

 

ユダヤ人にとっては、世界を支配する上で、USドルの絶対的な価値に支えられる資本主義経済が必要だからだ。

 

ただ、どちらの有事も結果として世界をインフレの渦に巻き込み、それを加速させているようには思える。

 

日本という国も、近隣に北朝鮮という軍事独裁国家が居て、台湾の実質的併合を目論む中国もある。

 

今や巨大な独立した人民元経済圏を持つ中国の習近平の支配力はプーチン同様に侮れない。

 

資本主義vs社会主義、ユダヤvsアラブ、といった対立するイデオロギー、宗教、民族、人種間の争いが国家間で起こり、アメリカでは大統領選を控えて、国内の分裂による内戦の危機さえある。

 

戦争という、今のところはまだ日本人にとって他人事のような出来事が、国外では現実に勃発しており、いつ日本にも火の粉が降りかかるような有事が起こったとしても驚きがないほど緊迫している。

 

それでも、実際に戦争に巻き込まれる事態が起こるまでは、我々にとって最も恐るるべき脅威はインフレなのだ。

 

戦争の当事国では、命の確保が最優先され、もはや食い物を得るためのお金の価値などどうでもよくなる。

 

お金ではなく、戦う為の武器が必要となる。

 

政治も経済の理屈や構造は、それがいかなる体制によって成り立っていたとしても、いち国民の立場では、平和で命の安全が保障され、衣食住に足りていることが重要であり、インフレによってそれが損なわれることは、資本主義の国々住む国民にとって致命的な打撃となるだろう。

 

そして、インフレによって相対的に通貨の価値が下落し、価値観が崩壊した資本主義の国々では、持てる者と持たざる者の格差はより広がり、圧倒的に数の多い持たざる者の不満が爆発するときに社会システムが破綻をきたし、ミサイルを撃ち込むまでもなく自ら滅んでいく運命なのかもしれない。