スクープとは、報道とは、ジャーナリズムとは。 | nobodyの冒険

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わかってくれる人、きっといるはずさっ

先日、いつものように

書店の文庫コーナーをあてもなく見て回っていると、

「文庫X」という謎めいた表紙の本が目に留まりました。

 

いかにも「目に留めてもらうための」デザイン。

どれどれ、そんなに読んでもらいたいのか。

ろくに中身の確認もせずレジに持っていきました。

 

ご存知の方も多いと思いますが、この「文庫X」の中身は

清水潔というジャーナリストが書いた

「殺人犯はそこにいる」という本。

北関東連続幼女誘拐殺人事件を

ジャーナリストの立場で徹底的に追いかけた記録です。

 

健全なジャーナリズムが

健全な国家には必要なのだということを

実に丁寧に教えてくれる本です。

奇抜な表紙のおかげで素晴らしい本に出合うことができました。

 

で、この本の解説に

スクープには4種類ある、という話が出てきます。

細かい話は省きますが、

4種類の中で最も低俗なものが

「エゴ・スクープ」と呼ばれるものです。

黙っていても早晩皆が知ることになる事柄を、

他人より早く報道したというだけで自己満足するスクープ。

誰が初報を放ったかはどうでもよい話であり、

こんなスクープの価値はゼロである。

この本で取り上げられている、

自らが一から掘り起こして手にしたスクープ

(エンタープライズ・スクープというのだそうです)とは

対極にあるもの。

 

皆さん、この話を聞いて

思い浮かべる最近のスクープ、ありませんか?

そう、小林麻央さん逝去のスクープです。

 

午後から海老蔵さんが記者会見をすると言っているのに、

なぜ数時間待てなかったのか。

記者会見前の「裏取り」のために、

悲しみに暮れるご家庭にすごく失礼な取材をしてはいないか。

 

このスクープをネットで読んだ時の不快感を、

私は思わずツイッターにぶつけてしまいました。

しかし、少し冷静になって考えると、

「大体マスコミってやつは・・・」と一括りにして怒ってはいかんな、

大部分のマスコミ関係者は節度ある報道をしているのだから、

と、少し反省しました。

 

どんな業界でも、

たったひとつの軽率な行動で

その業界全体に多大な迷惑が及ぶ。

私の本職も、まさにそんなことを

非常に気にしなければならない業界です。

 

スクープとは。報道とは。ジャーナリズムとは。

マスコミ関係者の皆さんには、

改めてよく考えていただきたいものだ、と思った次第です。

 

おっぱいの話ばかりではなく、

たまにはマジメな話も書かなきゃね。