今日の午後、鶴見大学に出かけて文化財学会秋期シンポジウムを拝聴してきた。


「プルシアン・ブルー」、なかなかいい響きの青である。いつ頃、この人工顔料は日本にたどり着いたのだろう。(石田先生の考証によれば、1747年以降のこと。)それまでの日本画にあった群青と藍を押しのけて、「紺青」と呼ばれたその色合いは、まさに革命的な色調の変化を近世日本絵画にもたらした。


かの平賀源内もプルシアン・ブルーの存在は知っていた。そして、この合成顔料をほんのちょっとだけ使って、西洋風の婦人図を描いている。それだけでも、この画材の持つ歴史的なすさまじさは分かるだろう。


勝盛典子氏の執念とも言うべき、近世絵画においてプルシアン・ブルーが利用されたその実態の探索過程、ご本人は謙遜して多くを語られなかったけれども、並大抵のものでなかった事は素人目にもよく分かった。ほんとすごいなあ、勝盛さんは。


荒井経先生、松尾ゆか先生、石田千尋先生とこれでもかと言うくらい、青一色の話が続く。色の三原色の中で、青は確かに発色の再現性や素材そのものの安定性を確保することが難しいのだろうなあ、と思いつつ、今なにげなく見ている「色」の歴史に想像をめぐらせた半日だった。青の饗宴、よかったなあ。