~GIFT OF LIFE~
とあるアメリカ人のお母様から言われた言葉です
姫がピッツバーグ小児病院で移植待機に入って間もない頃
とにかく姫の命を救いたいという一心で
たくさんの方の力をおかりして渡航し
無事にアメリカの待機者に登録はされたものの
日本人の私達がアメリカに来て
アメリカ人のお子さんからの臓器提供を待っているということに
違和感
申し訳なさ
後ろめたさ
罪悪感
なかなか進まない日本の小児臓器移植医療
が常につきまとい
同じ時期に移植待機入院している他のお子さんやその親御さん達と
積極的に交流を持とうという気持ちにもなれず
ただひっそりと二人静かに日々を送っていました
そんな時、心臓病の子供の支援団体がドネートしてくれるランチ会があって
たまたま席が隣になったお母さまに、ママンのそんな思いでいることを打ち明けたところ
『臓器移植は決して誰かの犠牲の元に成り立っているわけではなく、死にゆく人からの命のギフトなの。どこの国だって関係ない。今そこにその命のギフトを受け取って助けられる命があるのなら助けるべき。みな平等なのよ』
とのお言葉が…。
日本からきた姫にアメリカの子の心臓を提供する手助けをすることに抵抗はないのか
アメリカで救える命を後回しにして、姫を助けるという事になるのではないかと
ずっと思い悩んできただけに
ママンの心が幾分救われた気がしたのを覚えています。
しかしながら、アメリカに臓器提供を求めてやってくる私達のような外国人に対して
こんな温かな気持ちでいる人ばかりではないのも事実
実際に臓器提供を待っている方は特に冷ややかです
自国の問題は、自国で解決を望むというのはごく自然の考え方
ママンも本当によく理解しています
でも、愛しいわが子が目前で病気で苦しんでいて
その治療を自国で求めても得られないのなら
渡航という選択肢以外に我が子が助かる術が残っていないのなら
親は最後の望みを、そこに託すのではないでしょうか…。
渡航自体によって命を落とすかもしれないというリスクを背負ってでも
渡航先で非難される可能性を承知の上で…。
昨日、姫がお世話になっていた阪大で
姫と同じ左室心筋緻密化障害の男の子が
無事に心臓移植を受けたというニュースを知りました
深い悲しみの中でドナー提供の意思を示し、決断なされたご家族には、本当に頭が下がります
そして日本で移植を無事に受けられた男の子が新たな人生を手にされたことを
我が事のようにとても嬉しく思います
なかなか進まない日本の小児臓器移植医療
一例目となられた富山の男の子や、今回の女の子の存在やその勇気あるご家族の決断
をきっかけに
少しでも前進して欲しいと願います
姫のように移植を必要とする子供たちが渡航という選択をしなくてもいいように…。
命のギフトは
与える側も、得る側も、どちらもかけがえのない大切な命であり、慈しみ、愛されるべき命には変わりありません
得る側となった私達は
命のギフトを捧げてくれた小さな男の子に日々感謝し
彼が姫の体の中で生きていると思い
これでもかというほどの、たくさんの愛情を注いで、育てています
そして男の子が成し得なかったたくさんの事を
姫を通じて、経験させてあげたいと思っています。