このblogを介して

小児の心筋症の治療について

どれほど伝わるのか分からないのですが

現在の心筋症の子達に対する治療選択について

少し情報発信させてもらおうと思います。





姫が左室心筋緻密化障害が原因で

初めて重症心不全を発症した3年前

治療の選択肢はほとんどありませんでした。



薬剤コントロールがつかなくなると

次に残される治療は心臓移植のみ

ECMOという短期間しか使えない補助循環を利用しながら

国内移植という一縷の望みに託すか

一か八かで渡航移植という選択をするか…

どれを選択しても

全てが究極の選択でしかなく

命がけでした。



幸い、姫の場合は

小児用補助人工心臓の臨床試験が行われている年で

国内で準備された3台のうち

ラスト1台を当てがって頂けたため

治験期間終了後より渡航の準備に入る事ができました。





そして、あの時から3年が経ち

小児用補助人工心臓の使用が認可され

今の重症型心筋症の治療は

その重症度に応じて様々な形に変化しています。




皆さんは、補助人工心臓を装着したら

次は心臓移植の待機しかないと思われると思います。

海外では純粋に移植までのbridge useでしかなく

すぐにドナーが現れる事が前提なので、それでいいのですが、

日本の場合はと言うと

ドナーが現れるという確証は全くありません。

そんな中で日本のデバイスの使い方は

ちょっと矛先を変え

心臓の回復を目的とする事もでてきており

実際に離脱も可能になっています。

子供の心臓って回復する力が残っている場合もあるので

一時的にデバイスをつけて心臓を休息させ

回復したら離脱できる場合があるのです。



それから…

心臓移植は、結局は自己と異なる臓器を

身体の中に入れると言うことであり

移植を受けた瞬間から

拒絶との戦いが始まります。

移植をして、免疫抑制剤を内服していれば

普通の生活を送り

天命を全うできるというのは

大間違いで

移植は常に死と隣り合わせなのです。

20-30年後には、晩期拒絶を迎え

再移植をしなければ助かりません。



だからこそ、移植を回避できるなら

自分の心臓で生きていけるのなら

それが一番いいに違いないのです。




3年前、私達はできる事なら

姫の心臓を残す治療を選択したいと

強く願いました。

医療の進歩は目覚ましいから

移植しなくても

何とかなる日がくるんじゃないかって…。

心筋シートで繋げないか

幹細胞移植すれば何とかもたないか

セカンドオピニオンを求めて

必死になりましたが

移植しか道はありませんでした。



もし、心臓移植という治療選択が差し迫っている状況の方がいらしたら

是非もう一度考えてみて下さい。

そして、情報を収集して下さい。

補助人工心臓をつけて

離脱できるまで心臓の回復を待つのか

国内で移植待機するのか

渡航という選択をするのか

我が子は今どの治療を選択すべきか




ちなみに

姫がお世話になっている阪大は

可能な限り自己心臓を大切にしようという意向で治療がなされており

難治性で、回復の見込みがなければ

渡航を含む心臓移植という選択をしていく傾向です。

決して渡航移植を反対している訳ではありませんよ。






3年前の私達と同じように悩んでいる方のもとに

このメッセージが届き

より良い治療選択のきっかけとなりますように…ハート