高級料理と聞くと、 鱶鰭(フカヒレ)、フォアグラ、高級焼肉、うなぎ、ふぐ、ロブスター、、、ほとんどの人は年に一度、口にすることができるかできないかと言うような食材を想像してしまう。

残念ながら、俺は産まれてこのかた、それらの食材を口にしたことがないので、それらの味わいは想像の域を出ない。


その味わいを知らない俺が言うのもアレだが、俺は、この世で一番美味いものを食べたことがある。

事実、俺が食べたアレよりも美味いものを食べてる人は世界にはたくさん居るだろうが、日本だったら、そんなに多くは居ないだろう。


食べ物の美味さは、そのときの幸せ感にかなり左右されるものだろう。


俺は、貧乏なわけではないけれど、金持ちでもない。

まぁ、ひとえに、一般的な日本人だろうと思う。


でも、日本一幸せだろうと思う。


彼女もいない。お金もない。

それでも、俺が日本一幸せな理由は、まだ何も無い。将来の話だ。


お金が無くて、リーク(葱)とブタのひき肉、米だけ買った。

ホテルに泊まる金などもちろん無いので、近くの広場で、カセットコンロを使って、ご飯を炊いた。

当時の彼女が、狭い車内で上手に包丁を使って葱を切っていたのを思い出す。


初めて二人で作った料理は、少し塩味がきつくて、量も多くなかったけど、

間違いなく、一流シェフが作った高級料理より美味かった。

二度と味わえない高級料理だった。


あの時感じた幸せは俺の中で色あせることはないだろう。愛は永遠だから。


俺は、あの時に感じた幸せ以上の幸せと安心を創造できる男になりたいと思う。