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カゼルタ3~春の旅行~

の続き。


初日の夜は眠さに負けてしまった。とても外出できそうにない。

夕食はホテルの近所で買ってきたピッツァで済ませた。


翌朝の朝食では、イタリアのホテルにしては珍しく(*)、

温かいスクランブルエッグやベーコンやソーセージがあった。

脂っこいが美味しかったため相方は朝から山ほど食べていた。


*イタリアの朝食は甘いパンとカフェラッテだけ、と単純なもの

らしい。ホテルでもせいぜい冷たいハムとチーズがあるくらい。


その後、イタリア屈指のリゾート地である、ナポリ近郊にある、

ソレント~ポジターノ~アマルフィのドライブに出かけた。

途中、何度か道を間違えながらもなんとかソレントに辿り着いた。

だが、相方の様子がおかしい。「胃のあたりの調子が悪い」という。

もともと頑強な胃の持ち主の相方は、今まで胸焼けとか経験した

ことが無いため、「胃なのかどうかがわからない」という。

「朝からあんなに食べるからだよー」、と手持ちの胃薬を渡した。

気を取り直してドライブ続行。


↓ソレントの先のTermini付近から見たカプリ島


カプリ島


ぐるっとまわってポジターノ~アマルフィへ。

途中何度も停まって景色を楽しんだ。

相方の体調は相変わらず悪かったのだが、

「食べれば治るかも。お昼はラヴェッロのリストランテで食べよう」

ということになった。

標高350メートルの地にあるラヴェッロには、

アマルフィ海岸を見下ろせる眺めの良いリストランテがあるらしい

のだ(ガイドブックや誰かのHPで見た記憶があった)。


↓アマルフィ付近から山方向を見た写真

海岸に切り立った山、こういう山の上にラヴェッロはあるんです。


アマルフィ


アマルフィからラヴェッロまでの道は、案の定、細くジグザグして

いて、ときには対向車同士がすれ違えなくて、

バックしたりなんだりと大変だった。絶対私には運転できない。


なんとかラヴェッロの町に着いた。観光客がウジャウジャいる。

みやげ物屋の日本語しゃべるお兄さんから話しかけられたり

もした。結婚式もやっていて、広場は人でいっぱい。

相方は体調が悪いからあまり歩きたくない、というので、

私が噂のリストランテを探し回り、やっとこさ見つけた。


恭しく席に案内されると、噂どおりすばらしい景色が眼下に広がる。

「こんなに素敵な風景を見ながらの食事なんて、一生のうち何度

あるかしら」と、私は天にも昇る気持ちだった。

白ワインに、トマトのサラダ、海の幸のパスタ、魚のフライを注文した。


まずはさっぱりした白ワインで乾杯した。ああー幸せ。


ところが、である。トマトを食べると突然相方が苦しみだしたのだ。

「トイレに行ってくる。」

「え、そんな、食事中なのに・・・。」

戻ってきてしばらくするとまたトイレへ、の繰り返し。

海の幸のパスタも、この上なく美味しいのにまったく手をつけない。

セコンドの魚のフライも相方はまったく食べれない。悲しい。

席に座っているのも辛そうなので、

年配のカメリエーレもかなり心配してくれている。


「夫はかなり体調を崩しています。胃が痛いらしいの。

とっても美味しいのだけど、これ以上食べれない。お勘定お願い。」

とタドタドしいイタリア語でカメリエーレに告げると、

「体調悪いときにトマトを食べちゃだめだよ。これを飲みなさい。」

と、白い粉をおもむろに出し、水に溶かしてすすめてきた。

えー、と思ったが、飲ませてみた。

溶かすとき泡が出たからたぶん重曹だろう。


勘定を済ませ、景色を楽しむ間もなく足早に店を出た。