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さて、今回は知慧について書きます。


中村元著の「佛教語大辞典」に知慧のことが出ております。



【智慧】


① 事物の実相を照らし、惑いを断って、さとりを完成させるはたらき。


   物事を正しくとらえ、真理を見きわめる認識力。


   叡智(英知)。真実の知慧。


② 智と慧。


  この場合には、慧はさとりを導くもの、さとりにおいて現れるもの。


  智は、世の中に向かって発現するもの、差別・相対の世界においてはたらくものである。


③ 慈悲とともにある阿弥陀仏の智慧


④ 通俗的には、かしこさ。




[解釈例]


智とは心に照らして見分けること。


其ときは世俗諦を知り分けること。


慧は解了すること。


第一義諦をさとることなり。 <『円乗』四〇五五>



智とは俗諦を知るの智なり、


慧とは真諦を照すの慧なり。 <『皆往』四〇七一>



無我を知りて自楽に着せず。 <『筆記』下八四>



智は、あれはあれ、これはこれと分別しておもひはからふによりて思惟になづく、


慧は、このおもひの定まりて兎も角もはたらかぬによりて不動に名づく。


不動三昧なり。<『真聖』五ノ二>




佛教語には智火(ちか)というのもあります。 これは



【智火】


智慧に同じ。 智慧が煩悩を焼き尽くすのを火にたとえていう。




他にも


【智慧観】 真の智慧にもとづいて事物の本質を観察すること。


【智慧光明】 一切の無知を滅ぼす意味で、仏智を光明にたとえていう。


などもこの「佛教語大辞典」には出ておりました。