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<ロゴス>は、ギリシア哲学、ヘブライ・キリスト教思潮、

教父哲学および中世哲学におきまして、

以下のような内実と歴史的展開において示されてきました。



【ギリシア哲学】


logos は語源の上では「拾い集める」を意味する動詞(legein)

から出ており
、その語義はドイツ語のlesen(文字を拾う=読む)、

Auslese(選り摘み)などに残っています。


ばらばらに散らばった事実(事の端)を

筋目・秩序にしたがって取りまとめることから、

理由、原因、説明、理性、秩序、意味、根拠、比例(アナロギー)、算定

などを広く表します。


しかし何よりも事の端を掬い取りまとめる結集力は

言語(言の葉)にあり、

<ロゴス>は言葉を意味します。



logicとは言葉の筋道の意味の論理でありました。


ギリシア人は人間を「ロゴスを持つ動物」と定義しましたが、

これは金でも権力でもなく言葉がすべての問題を解決することを

生活の基本型式とするもののことでありました。


そうしたロゴスへの執着と信頼は

対話問答(ディアロゴス)に生きたソクラテスに極まります。




他方ヘラクレイトスは、

存在するすべてを成り立たせている根拠を

<ロゴス>(根源秩序系)と呼びました。


これはわれわれが日々触れていながら

とんと気づかない open secret であり、隠れた調和でありまして、

これに聞いて

「すべては(どんなに断片のように散らばっていても)

 一つに結びついている」

ことを知るのが知恵としました。


後にストア派はこれを宇宙生成の原理として

<種子としてのロゴス>(spermatikos logos)と変形受容しました。


しかしギリシア哲学とキリスト教の最初の出会いであるユスティノス

全人類に真理であるキリストの宿しがあるとし、

これこそ<種子としてのロゴス>としました。





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