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その日の予定は実はそこで終わりだった。

ゆったりとSPの2人も加えての昼食を摂りそのまま官邸へと戻る。

しつこく待ち構えていたのは、省庁から出向してきていた秘書官である。

「総理、お願いしますからブリーフィングをさせて頂けませんか?」

この詰め寄りにはナオもさすがにウンザリしてきたので、仕方無いとその申し出を受け入れる。

「解ったわ。じゃあ1人30分だけね。」

「えっ・・・30分ですか・・・。」

「嫌なら結構。時間が勿体ないから。」

「わ、解りました・・・では、それで・・・・。」

有人が執務室のドアを開ける。

「では、どうぞ。どなたからにしますか?」

「あ、はい、じゃあ私からお願いします。」

案の定、財務省からの秘書官だ。

ナオが総理の椅子に座る。

普通だと執務室にも来客用のソファーとテーブルがあるが、ナオはそれさえ使わせる気は無いようだ。

入って困惑している秘書官にナオが素っ気なく言う。

「じゃあ始めて。」

椅子をクルクル回しながら不遜な態度で言い放つ。

内心の怒りを何とか収めて、総理の机の前に進み出てブリーフィングを始める。

「まずは予算についてですが、予算には一般会計と特別会計がございます。」

「はい、間違い。補正予算もありますよね。」

「あ、それは・・・通常の予算では無くて・・・」

言葉を遮りナオは続ける。

「あのね、私はド素人じゃないのよ。小学生で司法試験に合格しているの。

あなた方は大学出てやっとキャリア試験に合格出来たくらいの人たちでしょ?

私に何を教えるつもりなの?教えられる事があるのかしら?」

目の前に居る秘書官は、今にも頭から湯気が立ちそうである。

「有人さん、一人目オシマイ。次の人。」

「あ・・いや・・・・」

言いよどむ有人を睨みつける。

「・・・解りました・・・。秘書官、今日のところはここまでで。」

秘書官も怒り心頭に達していて態度に現れている。

ドスドスと音を立てながら執務室を出ていく。

「良いんですか?秘書官を敵に回すと厄介な事になりかねませんよ?」

ナオはどこ吹く風でまだ椅子をクルクル回している。

「構わないわよ。どうせ今の秘書官は全員居なくなるから。」

「えっ!どういう事ですか?」

「どういう事って・・・それは・・・」


「キャイ」

「あ・・・又時間を忘れて・・・・。」

「有人さん、こんにちは。今日は予定オシマイ?」

「あ・・・いや、秘書官のブリーフィングをと言う感じだったんだけど・・・・。」

「アハ♪ナオが怒らせたんでしょ?」

「まあ・・・。」

「気にしないで。どうせ居なくなる人達だし。」

「あ、それさっきナオ君に聞こうとしていたんだ。どうしていなくなるの?」

「えっ・・・あ、ふ~ん・・・解んないのかぁ・・・じゃあ、秘密。」

「えぇ~~。」

小悪魔の微笑みである。



続く