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奈緒の厳しい指摘は続く。

「あ、それと大臣。文科省の大学への天下りは全廃して頂けますか?博士号も持たない「教授」が量産されては、国家の教育機関として恥ずかしい限りではありませんか?」

モチのロンで根回し済みである。

「はい。それは私も問題だと認識を持っておりました。この際、全ての国公立大学の教授は博士号が必須と変更したいと思います。

現在天下りしている元文科省官僚は、再教育課程を受けて頂き博士取得か若しくは退官を選択して頂こうと考えております。」

「そうですか、それはとても良い決断だと思います。プラスして歴史教育の再考もお願いします。

現在の眉ちゃう国、眉傾国の検定委員では無く、広く正しい歴史感を持つ教育者を中心とした検定委員選出方法をお考え頂きたい。

是非他国に毒された我が国の教育を立て直して頂きたい。手腕を期待します。」

「はい。全力をあげて取り組みます。お任せ下さい。」

そこから奈緒は慌てふためく他省庁も滅多打ちにしていった。

先週の会議同様、会議の終了が告げられた時には、その場にいた全員の魂は何処かへ飛んで行って抜け殻が呆然と座っている有様だった。

打ち沈む官僚を放っておいて、有人と会議室を後にすると二階堂が追ってきて奈緒に詰め寄った。

「総理、相談も無くこの様な事をやられては困る。会議中は総理のメンツを立てて黙っていたが、これはやりすぎだ。

あれでは官僚が全員敵に回ってしまうぞ。そうなれば安倍川第1次政権と同じ目に遭う。官僚のリークや反乱で内閣は崩壊してしまう。

マスコミと官僚の癒着を甘く見ては総理は勤まらない。少し、考え直して多少の温情も加えてくれんか?」

奈緒は考える振りをして少しだけ黙った。

「・・・・大叔父様、申し訳け無いけど・・・官僚の反発は気にしない事にしたの。だから、大叔父様もその気でいて欲しいの。」

「いや・・・だから、それでは内閣が持たないと言っているんだ。総理は政治がよく解っていないかも知れんが、ワシはそう云う事例を数多く見て来ているんだ。

だからこその助言だと思って聞き入れてくれんか?」

「あのね、大叔父様。私は今の次官さん達全員に消えて頂くつもりなの。」

「えっ?全員って・・・どういう事なんじゃ?」

「だから公約にもちゃんと書いたでしょ?省庁をほぼ解体して新しい国造りをやるつもりなの。

大叔父様。もはや今の官僚機構は機能不全だと思わない?」

「それは・・・確かにその一面はあるが・・・全部作り変えるとなると・・・ものすごい抵抗があるぞ。

それこそ、内閣と省庁の戦争になる。マスコミも一斉にこちらへの攻撃を仕掛けてくるじゃろ。」

「うん、解っている。でもマスコミは大丈夫よ。電波オークションをチラつかせてしばらくは黙らせるから。

戦いは一極集中、戦力の分散なんて愚策は冒さない。だから大叔父様も応援して下さい。」

「・・・・う~む・・・・」

「大丈夫よ。大叔父様の国交省の利権には知らん顔してあげるから。」

「・・・うむ・・・そうか・・・・そこまで奈緒・・いや、総理が言うのであれば副総理として協力をせずにはおれまいの・・・。」

「うん、そう云う事でお願いします。」

奈緒の術中に嵌る二階堂である。

国交省なんて利権の巣窟だ。

奈緒がそれに目を瞑るはずは無いのだ。

未だに可愛い可愛い奈緒ちゃんへの幻想を拭えない二階堂には奈緒の本性は見えていない。

「じゃあ、大叔父様。この後少し予定があるのでこれで・・・。」

「うむ・・・。お疲れじゃった。」

有人を促しその場を離れて二階堂の姿が見えなくなると奈緒は有人に告げる。

「有人さん、山根さんに連絡して、以前頼んでおいた横断式省庁組織の策定を急ぐように言っておいてもらえる?」

「あ、はあ・・・以前から計画していたの?」

「うん、以前と言うか・・・始めからそのつもりで総理になろうと思っていたのよ。じゃ、無ければやろうと思わなかったもの。

私が本当にやりたい事は・・・ううん、何でも無い。とにかく、山根さんに大急ぎでって伝えて。」

「あ、うん。」

有人は奈緒が言いかけた事に引っかかりを覚えたが、それ以上話すつもりも無さそうなので、その場はそのまま言われた通り山根に計画を急ぐように要請する連絡係を請け負う。


奈緒はその足で官僚達がリークによってマスコミを味方につけ反抗を試みると予想してその対策を考えていた。

会議終了後、奈緒が鎮守神社を公式に参拝した事で、その日行われた会議終了後官僚たちからあがった猛烈な反発とマスコミへのリークが色褪せる。

官僚のリークに呼応するマスコミからの批判的な機運は雲散霧消してしまい、鎮守神社公式参拝批判一色となった。

もちろん、官僚の不満を伝える手段を喪失させる事で、官僚組織を孤立させる奈緒とナオの作戦の一環である。

前政権と外務省の眉ちゃう国勢力が推し進める、ちゃう国酒席の国賓訪問を妨害する側面もある。

案の定、ちゃう国と傾国は猛烈な反発を顕にした。


続く