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有人から連絡を受けた樫村医師は急いで公邸へと向かった。
公邸では奈緒が身支度を整え樫村医師を待ったいた。
「こんばんは、奈緒ちゃん。緊急な呼び出しだと云う事だったけど、何かあったのかな?」
奈緒は静かに樫村へ答える。
「ええ、今日が最後です。明日までに人格統合出来なければ、ナオは人類史上最悪の独裁者となります。それだけは何としても防がなければなりません。」
その言葉に驚きを隠せない樫村が詳しい説明を求めた。
奈緒は大まかな事を伝え、喫緊の事態である事を樫村に理解させた。
その場には有人も同席していたが、奈緒は有人に席を外すように言った。
「奈緒ちゃん・・・側にいてはダメなのかな?僕も見守りたいのだけど・・・・。」
それに対して奈緒は仕方ないと云う感じでそれを許す。
「それじゃ・・・居てもいいわ。でも、有人さん。ナオへの同情心・・・未練は捨ててね。で、ないとここに居る私達は破滅するわよ。」
奈緒の言葉に有人は黙って頷くしか無かった。
事ここに至って有人も二股を諦めるしか無い事を悟った様だ。
本当にどうしようもないクズな二股男である。
「じゃあ、先生、始めましょう。これまでの1年半で大体のコツは掴んでいます。後はナオの潜在意識と私の意識を統合するだけです。」
「う・・・む・・・。しかし、そこが一番の難所なのだ。奈緒ちゃん、上手く行けばナオの人格を消す事が出来るが、失敗したら奈緒ちゃんの方が消える可能性もある。
下手をすると二人共、自我の崩壊を招きかねないのだぞ。」
「解っています。でも、明日ナオが目覚めたら世界は混乱の極みに陥ります。
間違いなく覇権を争い・・・再び麦国と我が国が戦火を交える事になりかねません。」
「うむ・・・。奈緒ちゃんがそう言いう覚悟なら、私はもう死力を尽くして手伝いをするしか無さそうだな。」
「お願いします。有人さん、絶対に見ているだけにして声を掛けたりしてはダメよ。そんな事したら2度と会えなくなるわ。それを肝に命じていてね。」
「・・・・解った。ただ奈緒ちゃんの無事を祈って見守っているよ。」
さすがに二股男も覚悟が決まった様である。
「では・・・先生、始めましょう。」
「うん・・・じゃあ、奈緒ちゃん目を閉じて・・・この時計の音に集中して・・・・・。」
樫村医師による催眠療法が始まる。
「・・・・奈緒ちゃん・・・今、奈緒ちゃんはいくつかな?」
「えっと・・・私、今・・ふたつ。お祖父ちゃんのお葬式に来ているの・・・・。」
「そうかい。それは残念な事だったね・・・。お祖父ちゃんの事が大好きだったのかな?」
「・・・うん。奈緒、お祖父ちゃんが大好きだった。お祖父ちゃんは奈緒にとても優しかったの・・・。」
「そうだね・・・。それで奈緒ちゃんは今、どこにいるのかな?」
「え~っと・・・・お祖父ちゃんのお家の蔵で、お人形さんのナオと遊んでいるの。」
そう、ナオはあのフランス人形の名前であったのだ。
樫村医師と奈緒の会話が続きナオが登場する場面へと会話は進んで行った。
夜明け前、樫村医師と奈緒の治療は終わりを迎えた。
「奈緒ちゃん、私が手を3つ叩くと目が覚めるよ。・・・・」
樫村医師が手を3つ叩く。
「・・・・あ・・・先生・・・。終わりましたか?」
「うむ・・・。出来る限りの事はやった。後は・・・ナオの人格が奈緒ちゃんに残っているか、いないか・・・それは今は分からない。
一度奈緒ちゃんが眠ってみて・・・目が覚めた時、ナオが現れなければ成功と云う事だと思うが・・・。」
近くのソファーで有人が眠っていた。
「ふっ・・・有人さん、眠っちゃったんですね。」
「ああ・・・何やら有人にも催眠が効いた様でな。」
「ふふふ・・・。」
奈緒は有人を愛おしむ様に眺めていた。
二股男は単純で催眠に掛かりやすい様だ。
続く
有人から連絡を受けた樫村医師は急いで公邸へと向かった。
公邸では奈緒が身支度を整え樫村医師を待ったいた。
「こんばんは、奈緒ちゃん。緊急な呼び出しだと云う事だったけど、何かあったのかな?」
奈緒は静かに樫村へ答える。
「ええ、今日が最後です。明日までに人格統合出来なければ、ナオは人類史上最悪の独裁者となります。それだけは何としても防がなければなりません。」
その言葉に驚きを隠せない樫村が詳しい説明を求めた。
奈緒は大まかな事を伝え、喫緊の事態である事を樫村に理解させた。
その場には有人も同席していたが、奈緒は有人に席を外すように言った。
「奈緒ちゃん・・・側にいてはダメなのかな?僕も見守りたいのだけど・・・・。」
それに対して奈緒は仕方ないと云う感じでそれを許す。
「それじゃ・・・居てもいいわ。でも、有人さん。ナオへの同情心・・・未練は捨ててね。で、ないとここに居る私達は破滅するわよ。」
奈緒の言葉に有人は黙って頷くしか無かった。
事ここに至って有人も二股を諦めるしか無い事を悟った様だ。
本当にどうしようもないクズな二股男である。
「じゃあ、先生、始めましょう。これまでの1年半で大体のコツは掴んでいます。後はナオの潜在意識と私の意識を統合するだけです。」
「う・・・む・・・。しかし、そこが一番の難所なのだ。奈緒ちゃん、上手く行けばナオの人格を消す事が出来るが、失敗したら奈緒ちゃんの方が消える可能性もある。
下手をすると二人共、自我の崩壊を招きかねないのだぞ。」
「解っています。でも、明日ナオが目覚めたら世界は混乱の極みに陥ります。
間違いなく覇権を争い・・・再び麦国と我が国が戦火を交える事になりかねません。」
「うむ・・・。奈緒ちゃんがそう言いう覚悟なら、私はもう死力を尽くして手伝いをするしか無さそうだな。」
「お願いします。有人さん、絶対に見ているだけにして声を掛けたりしてはダメよ。そんな事したら2度と会えなくなるわ。それを肝に命じていてね。」
「・・・・解った。ただ奈緒ちゃんの無事を祈って見守っているよ。」
さすがに二股男も覚悟が決まった様である。
「では・・・先生、始めましょう。」
「うん・・・じゃあ、奈緒ちゃん目を閉じて・・・この時計の音に集中して・・・・・。」
樫村医師による催眠療法が始まる。
「・・・・奈緒ちゃん・・・今、奈緒ちゃんはいくつかな?」
「えっと・・・私、今・・ふたつ。お祖父ちゃんのお葬式に来ているの・・・・。」
「そうかい。それは残念な事だったね・・・。お祖父ちゃんの事が大好きだったのかな?」
「・・・うん。奈緒、お祖父ちゃんが大好きだった。お祖父ちゃんは奈緒にとても優しかったの・・・。」
「そうだね・・・。それで奈緒ちゃんは今、どこにいるのかな?」
「え~っと・・・・お祖父ちゃんのお家の蔵で、お人形さんのナオと遊んでいるの。」
そう、ナオはあのフランス人形の名前であったのだ。
樫村医師と奈緒の会話が続きナオが登場する場面へと会話は進んで行った。
夜明け前、樫村医師と奈緒の治療は終わりを迎えた。
「奈緒ちゃん、私が手を3つ叩くと目が覚めるよ。・・・・」
樫村医師が手を3つ叩く。
「・・・・あ・・・先生・・・。終わりましたか?」
「うむ・・・。出来る限りの事はやった。後は・・・ナオの人格が奈緒ちゃんに残っているか、いないか・・・それは今は分からない。
一度奈緒ちゃんが眠ってみて・・・目が覚めた時、ナオが現れなければ成功と云う事だと思うが・・・。」
近くのソファーで有人が眠っていた。
「ふっ・・・有人さん、眠っちゃったんですね。」
「ああ・・・何やら有人にも催眠が効いた様でな。」
「ふふふ・・・。」
奈緒は有人を愛おしむ様に眺めていた。
二股男は単純で催眠に掛かりやすい様だ。
続く