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ポン太と暮らす陽子の具合が悪くなったのは3日ほど前だった。

お熱が出て陽子はとても苦しそうでゲホゲホしていた。

なのに陽子はポン太のご飯だけはフラフラしながらも用意してくれていた。

ポン太はそんな陽子が心配で熱でうなされている陽子のベッドの側で一緒に寝ていた。

3日過ぎると陽子は何処かへ電話をしていた。

「しばらく出かけるね。」

そう言って陽子は出かけて行った。

フラフラしながら出かける陽子を心配そうにポン太は見送った。

夕方になって陽子は帰って来たが、その顔色は出かける前より悪くなっていた。

「わう~ん」

ポン太は心配そうに陽子の側によってスリスリしていた。

「ポン太・・・・」

陽子はそれ以上言葉が出ない様子でポン太の頭を撫でるだけだった。

ポン太のご飯を用意して、それをポン太が食べている間に陽子は自分の荷物の準備をしていた。

ポン太が食事を終えるとお出かけカゴを出してきてポン太を呼んだ。

「ポン太、おいで。ちょっとお出かけするわよ。」

ポン太は陽子の具合が良くなったのかと嬉しくなり尻尾をブルブル振りながらお出かけカゴに駆け込んだ。

「わお~ん♪」

「ふふふ・・・・ポン太はお出かけ大好きね・・・。」

そう云う陽子の顔を見たポン太は驚いた。

さっきより更に具合が悪そうになっているのだ。

「わおん・・・わおん・・・・。」

「ああ・・・ポン太・・・解るのね・・・ゴメンねポン太・・・・」

「わおん・・・・。」

ポン太はこれからお出かけするところを知っている・・・・多分・・・・。

お散歩仲間のポチとかシバとかに聞いた事がある。

お母さんがお世話を出来無くなった時に行かなくてはならない場所がある事を。

陽子がお出かけカゴを抱きながらタクシーへ乗る。

ポン太は陽子が大好きだったので、ここで騒いで陽子を困らせたく無かった。

おとなしくお出かけカゴの中で静かに涙を流した。

そしてそこへついた・・・・。

陽子は受付でお姉さんに声を掛けていた。

「くれぐれもポン太をよろしくお願いします・・・・。」

「ええ・・・分かりました・・・。どうぞお気になさらず・・・・。」

お出かけカゴから受付の台に出されたポン太を陽子が抱きしめる。

「ポン太・・・・ゴメンね・・・・。」

ポン太は陽子の気持ちが解っていた・・・・とても辛そうな陽子を責める事は出来ない・・・。

「わおん・・・・。」

そう言いながら陽子の顔にスリスリして最後の別れを惜しんだ・・・・。

ポン太はポチから聞いていた・・・・

ここに居られるのは2週間だけだ・・・・

その間に別のお母さんが見つからない時は・・・・

ポン太は色んな友達がいるところに入った。

1日、そしてまた1日と過ぎて行く・・・。

ポン太は最後に見た陽子の姿を忘れはしない。

涙を流しながら別れを辛そうにしていた陽子・・・・

そうしてとうとうその日がやって来た。

陽子と別れて2週間が過ぎたのだ。

その日の夕方係のお姉さんがポン太を迎えに来た・・・・。

ポン太は既に覚悟は出来ていた。

仕方無い事なのだ・・・・。

陽子はきっと重い病気でポン太を世話できなくなったのだ。

だから・・・・でも・・・次のお母さんに迎えられるにはポン太は大きくなり過ぎていた。

「おいで・・・ポン太ちゃん・・・・」

お姉さんが優しい笑顔でポン太の体を抱き上げる。

ポン太は目を閉じた・・・・。

お姉さんは悪くない、陽子だって悪くない・・・仕方無いのだ・・・

ポン太はそっと台の上に降ろされた。

そのまま目を閉じていた・・・・

さすがに怖い思いがどっと寄せて来たのだ。

その時陽子の声がした。

きっと幻聴だとポン太は思った。

「ポン太・・・ポン太・・・ごめんね。お迎えが遅くなって・・・・。」

はっとして目を開けたポン太を抱きしめる陽子の顔がポン太の顔の横にある。

「わお~ん、わお~ん、わお~ん・・・・。」

ポン太は嬉しくて、嬉しくてたくさん、たくさん、鳴いてしまった。

「ごめんね、ごめんね、ポン太・・・・。」

陽子が撫でる頭の手が優しくポン太を抱きしめた。

「山中様、お元気になられて良かったです。大変だったでしょう・・・・。」

「ええ・・・具合はスグに良くなったのですが、2週間は隔離でしたから・・・ポン太が心配で・・・。」

「そうでしょうね・・・ポン太くんも心配していたのか、とても大人しくしていましたよ。心配なぐらい」

「ありがとうございました・・・・本当に助かりました。・・・ポン太、お家に帰ろう・・・。」

「わお~ん」

お外の看板には【アニコム損保】の文字があった。


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