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主題歌はこれで😄😄😄
始まりの風 平原綾香
【じゃあ、そろそろ対局室に戻った方が良くないか?残り時間がもったいないぞ。】
「あっ!そうだった・・・残り時間、あと1時間くらいしか無い・・・。」
将棋には(それぞれ棋戦によって異なるが)持ち時間が決まっている。
このリーグ戦は各自4時間である。
その残り時間を使い切ると一手指す持ち時間が1分間になる。
これを秒読みと呼ぶ。
1分以内に指さないと反則負けとなるルールだ。
「でも・・・あの局面で・・・勝てる方法があるの?本当に?」
【大丈夫だ。言っているだろ?おれは天才だって。俺には既に勝ち筋は見えている。後はお前が言われたとおり指せばいいだけだ。】
「・・・・それも・・・・何だか気がひけるけど・・・・。」
【そんな事言っている場合じゃないだろ?将棋指しになれなくて良いのか?】
「・・・なりたい!絶対なりたい!そのために今まで努力してきたんだもん。」
【努力・・・ねぇ~・・・まあ、今は良いや。ほら、早く戻れよ。ちゃんと勝たせてやるから。】
「うん・・・解った。絶対だからね。」
【疑い深いヤツだな。】
泰葉は鏡を見据えて、ヨシ!と気合を入れて化粧室を後にし対局室へと戻る。
「失礼しました。」
対局者に声を掛けて盤面へ向かう。
戻ったは良いが局面が変化している訳では無い。
どう考えても自陣はあと7手で必至がかかる状態だ。
これをどう逆転するというのか?
【ねぇ・・・これで勝てる手があるの?本当に?】
【ふん・・・解かんねぇか・・・だろうな。これが解るなら26歳迄奨励会にいやしないよな。】
【くっ!嫌な奴、嫌な奴!・・・・良いから早く教えてよ!】
【ほう?それが教えを請う態度かね?性交したいわ君】
「な、なんですっ・・・・あ、すいません。」
「あ、いいえ。」
【ぷぷぷ・・・。お前、口から先に生まれたくちだな。】
【う、煩い!変な名前で呼ばないで。泰葉ってちゃんとした名前があるの。】
【まあ良いさ。じゃあ、ほら8六に歩を突け。】
【えっ?守らないの?このままじゃ7手で必至なんだよ?】
【良いから。さっさと歩をつけよ。どうせ受けて来るから心配すんな。】
【うっ・・・・解った・・・・】
言われるまま飛車先の歩を突く。
しかし・・・これは言うように相手が単に受けて歩の交換になるだけで、こちらの状況が変わるわけでは無い・・・。
その場面を会館の控室で会長以下主だった者たちが見つめていた。
(特別な対局がある場合、盤面の上部にはカメラが設置されており、又、大きな大会などでは別室で解説等が行われる。控室ではその対局に興味のある棋士やマスコミがそれを見ている)
「会長・・・残念ながら連盟初の女性棋士の誕生はオアズケの様ですね。」
里見会長が切望していた初の女性棋士誕生に対して、それを苦々しく思っていた古河副会長が皮肉っぽく声を掛けた。
「うむ・・・・。無理かな・・・やっぱり・・・。」
「無理でしょ?どう考えてもここから逆転は無いですよ。あと9~11手くらいで投げるんじゃないですかね。」
周りに屯(たむろ)していたマスコミも肩透かしを食った感じになっていた。
序盤に3敗したあと破竹の連勝で最終戦を迎えた泰葉に世間は初の女性棋士誕生の夢を見ていた。
数年前世間の人気を席巻した天才少年以来の注目度であったのだが・・・・。
対局室では予想通り泰葉が突いた歩を同歩と受けて来た。
少々時間を使って読みを入れて(先の手筋を考えて)盤石だと自信を持った受けであった。
【ほらな。ちゃんと受けて来たろ?これがまあ凡人の将棋だわな。】
【ぼ、凡人って・・・ここは誰だって受けるでしょ?だって受けないと歩で取り込まれたら困るじゃない。】
【だから~、そこが凡人なんだよ。これは受けたら負けの一手だったんだよ。】
【えっ?どういう事?】
【ふん・・・まあ、お前にもすぐに解るだろ。とりあえず三段まで登って来たんだから、最後は見えるさ。】
【もう!焦らさないでちゃんと教えてよ!!】
【だから~、はぶてるなって!】
【はぶてとらんもん!】
続く
主題歌はこれで😄😄😄
始まりの風 平原綾香
【じゃあ、そろそろ対局室に戻った方が良くないか?残り時間がもったいないぞ。】
「あっ!そうだった・・・残り時間、あと1時間くらいしか無い・・・。」
将棋には(それぞれ棋戦によって異なるが)持ち時間が決まっている。
このリーグ戦は各自4時間である。
その残り時間を使い切ると一手指す持ち時間が1分間になる。
これを秒読みと呼ぶ。
1分以内に指さないと反則負けとなるルールだ。
「でも・・・あの局面で・・・勝てる方法があるの?本当に?」
【大丈夫だ。言っているだろ?おれは天才だって。俺には既に勝ち筋は見えている。後はお前が言われたとおり指せばいいだけだ。】
「・・・・それも・・・・何だか気がひけるけど・・・・。」
【そんな事言っている場合じゃないだろ?将棋指しになれなくて良いのか?】
「・・・なりたい!絶対なりたい!そのために今まで努力してきたんだもん。」
【努力・・・ねぇ~・・・まあ、今は良いや。ほら、早く戻れよ。ちゃんと勝たせてやるから。】
「うん・・・解った。絶対だからね。」
【疑い深いヤツだな。】
泰葉は鏡を見据えて、ヨシ!と気合を入れて化粧室を後にし対局室へと戻る。
「失礼しました。」
対局者に声を掛けて盤面へ向かう。
戻ったは良いが局面が変化している訳では無い。
どう考えても自陣はあと7手で必至がかかる状態だ。
これをどう逆転するというのか?
【ねぇ・・・これで勝てる手があるの?本当に?】
【ふん・・・解かんねぇか・・・だろうな。これが解るなら26歳迄奨励会にいやしないよな。】
【くっ!嫌な奴、嫌な奴!・・・・良いから早く教えてよ!】
【ほう?それが教えを請う態度かね?性交したいわ君】
「な、なんですっ・・・・あ、すいません。」
「あ、いいえ。」
【ぷぷぷ・・・。お前、口から先に生まれたくちだな。】
【う、煩い!変な名前で呼ばないで。泰葉ってちゃんとした名前があるの。】
【まあ良いさ。じゃあ、ほら8六に歩を突け。】
【えっ?守らないの?このままじゃ7手で必至なんだよ?】
【良いから。さっさと歩をつけよ。どうせ受けて来るから心配すんな。】
【うっ・・・・解った・・・・】
言われるまま飛車先の歩を突く。
しかし・・・これは言うように相手が単に受けて歩の交換になるだけで、こちらの状況が変わるわけでは無い・・・。
その場面を会館の控室で会長以下主だった者たちが見つめていた。
(特別な対局がある場合、盤面の上部にはカメラが設置されており、又、大きな大会などでは別室で解説等が行われる。控室ではその対局に興味のある棋士やマスコミがそれを見ている)
「会長・・・残念ながら連盟初の女性棋士の誕生はオアズケの様ですね。」
里見会長が切望していた初の女性棋士誕生に対して、それを苦々しく思っていた古河副会長が皮肉っぽく声を掛けた。
「うむ・・・・。無理かな・・・やっぱり・・・。」
「無理でしょ?どう考えてもここから逆転は無いですよ。あと9~11手くらいで投げるんじゃないですかね。」
周りに屯(たむろ)していたマスコミも肩透かしを食った感じになっていた。
序盤に3敗したあと破竹の連勝で最終戦を迎えた泰葉に世間は初の女性棋士誕生の夢を見ていた。
数年前世間の人気を席巻した天才少年以来の注目度であったのだが・・・・。
対局室では予想通り泰葉が突いた歩を同歩と受けて来た。
少々時間を使って読みを入れて(先の手筋を考えて)盤石だと自信を持った受けであった。
【ほらな。ちゃんと受けて来たろ?これがまあ凡人の将棋だわな。】
【ぼ、凡人って・・・ここは誰だって受けるでしょ?だって受けないと歩で取り込まれたら困るじゃない。】
【だから~、そこが凡人なんだよ。これは受けたら負けの一手だったんだよ。】
【えっ?どういう事?】
【ふん・・・まあ、お前にもすぐに解るだろ。とりあえず三段まで登って来たんだから、最後は見えるさ。】
【もう!焦らさないでちゃんと教えてよ!!】
【だから~、はぶてるなって!】
【はぶてとらんもん!】
続く