コードバンをグリセリン保湿 | shoesaddictのブログ

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米国古靴に関するブログです

予てよりどうしても気になっていたことを確かめてみました。
それは、コードバンに対するグリセリン保湿の有効性です。
一般的に水に弱いとされるコードバン。
一方、グリセリン水溶液で完膚なきまでに甲革を湿らすグリセリン保湿。
一見、まさに水と油といった様相です。

しかし、個人的にはコードバンはそこまでデリケートな素材ではないとの思いもあります。
そのため、中性洗剤でのコードバン靴丸洗いを敢行したこともあります。
(結果は特段の問題を生じませんでした)
そうはいっても、手持ちのコードバン製の古靴にグリセリン保湿を試すのも躊躇われます。



そうしたなか、今回の実験台となってくれたのが上写真のFloesheim Imperial Quality Kenmoor 93605。
今回の実験のためだけに敢えてマイサイズではないこのペアを入手致し人身御供となってもらいました。
(非常に状態が良いため、ジャストであればこのような暴挙には出られなかったでしょう)



先ずはグリセリン保湿中の画像をご覧ください。
衝撃映像かとは思いますが、なかなか給水スピードも早く、見る見る張りを取り戻していくのが実感できました。



徹底的に水分を含ませましたが、グレインレザーやカーフよりも潤いが浸透するのが早い印象を受けました。
上写真は保湿完了後1時間程度経過した状態ですが、保湿したことが分からない程度に馴染んでいます。
今のところは順調に推移していますが、ここでもう一段のトライアル。



日頃より、値の張るコードバン専用クリーム等の必要性に疑問を抱いていたため、専用ケア用品信奉へのアンチテーゼとしてミンクオイルでの油分補給を行いました。
結果、塗布している段階では特段の問題は感じませんでした。

オイルが浸透した時分を見計らって、馬毛ブラシでブラッシングを行い、擦れや傷の見られる部分を爪の甲で強く擦りコードバンの繊維を寝かしつけました。



出来上がりがこちら。
なかなかの仕上がりではないでしょうか。
コードバン製Kenmoorのクオリティの高さを再確認させられました。
(体を張ってくれたこのペアには感謝の一言です。マイサイズではないため、綺麗に手入れをして嫁に出したいと思っています。)


現代ほど質の良いケア用品が普及していなかった20世紀初頭以前より製靴に用いられてきたコードバン。
その時代より革靴の素材として生き残ってきたわけですから、そこまで使い勝手が悪いはずはあるまいと思っていましたが、今回の実験である程度それを実証できたのではないかと思います。
コードバンは世間一般の認識とは異なり、簡単に入手出来る廉価なケア用品だけでも十分にそのポテンシャルを引き出せる素材だと思います。

そうは言っても、使われているコードバンのタンナーや色味等により結果は異なるかもしれませんので、保湿を実施される際には自己責任でお願い致します(笑)。