- エイダン チェンバーズ, Aidan Chambers, 浅羽 莢子
- おれの墓で踊れ
恋愛小説とも読める。
誰かを好きになっていく自分を発見して受け入れていくその作業に
不慣れで真剣であることがとても痛い。
この痛みが書かれていなければ、恋愛小説として成立しないだろうけれど
現実ではここまで自意識を持たないのではないかというところまで
痛みを主人公に自覚させているので、いったいこの作家、
若いときよっぽどもてないクンだったのか、などと想像する始末です。
男の子を好きになる男の子の話だけれどボーイズラブものではありません。
じっとりしてこないのは、2人の男の子の関係を崩すことになる女の子の
醒めていないけれど、体温が感じられるくらいの距離感がいいから。
ほんのちょっとだけ、濃密な男の子たちからずれた空間にいる彼女。
ずれが、性差だけではなく異邦人ゆえにというのがむしろすっきりしていてすとんとくる。
もう一つの翻訳されている作品「2つの旅のおわりに」 も読み応えがあるので
新作読みたいです。