ひとりじめ【再録】 | 妄想最終処分場

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早いものでSunny様主催の企画LME HOTELに参加して2カ月とちょっと。

こちらに提出したSSが自宅公開可となりましたので一応アップします。

再録に当たり細かいところの修正を行ってます。

チェックが甘い勢いだけので書いてる私なので、誤字脱字がハンパないんです~~。(´д`lll)


素敵なホテルへのご旅行は下記リンクからどうぞ!!


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…いやね、公開迷ったんですよ。

だって時事ネタを扱ったものだったので・・・。

しかしながら来年まで寝かせるのもアレなので、中途半端なこの時期にアップとなりました。

ちなみに、時系列はねつ造ですw

なんだかだらだら続いてしまって計4話となりました。


*二人の会話は英語です。脳内変換プリーズ。


*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆


ひとりじめ



「買っちゃった…」


遅くまで長引きそうな撮影中、カインに楽屋で休んでこい促されたキョーコはスタジオを抜け出し買い物に出かけた。

手には一人用の3号サイズホールケーキ。


(セツカが食べたかったから…うん、それでいいじゃない!)


少し迷ったが、ホテルとスタジオが近かったためホテルに戻りケーキを冷蔵庫に押し込める。

今日は遅くなると分かっているので、帰宅してからの軽食の支度だけ済ませてスタジオにとんぼ返りした。



*****



トラジックマーカーの撮影のため、この1週間はずっとは蓮とキョーコは完全にヒール兄弟として過ごす予定となっていた。『敦賀蓮』も『京子』もスケジュールは組んでいないため1週間ぶっ通しでヒール兄妹なのだ。

部屋での暗黙のルールは続行中だ。

二人きりの部屋であってもキョーコはカインとセツとしてしか振る舞えない。


…1週間…2月9日~2月15日までの7日間である。


(いいのかしら?敦賀さんの誕生日からバレンタインまで、よりによって一緒に過ごすのが私だなんて…)


この期間は敦賀蓮として過ごさないから、今年は直接受け取るプレゼントは少ないだろう。というか受け取れない。


(きっと事務所はプレゼントの山だわ…)


カイン・ヒールとしてもこの期間に何か受け取ることもないだろう。

そもそもカインの誕生日はいつかキョーコも知らないし、B・Jにおびえまくっている現場のスタッフが日系イギリス人のキャストにわざわざバレンタインチョコを用意しているのも考えづらい。

天下の敦賀蓮が今年の誕生日およびバレンタインに直接もらうプレゼントが皆無の状況もそれはそれで怖い。


「セツ、帰るぞ」


スタジオの隅でそんなことを悶々と考えていたキョーコに今日の分の撮影を終えたカインが近づいてきた。


「どうした?」


じぃっと自分を見上げるセツカに、訝しげに声をかけた。


「何でもない。兄さんに見惚れてただけ」

(よく考えたら、お祝いできるのは私だけね)


じわりとこみ上げた嬉しいようなくすぐったいような感情。独占欲が満たされていく。


「帰りましょ。アタシ達の部屋に」



****



遅くなった夕食を部屋で済ませ、時計を見る。

時刻は23:55。

バスルームの水音が止まったのを確認して、キッチンで湯を沸かしお茶を入れる準備をする。紅茶を入れ始めると、バスルームのドアが開いた。


「…何をしている?」

「もう、兄さんまた頭を乾かさずに出てきて。髪、跳ねるわよ?」


ガシガシとタオルで髪をぬぐうカインは、夕食は済ませたはずなのにキッチンに立つセツカに訝しげな顔をした。


「急に食べたくなって、ケーキ買ってきちゃった」


冷蔵庫から取り出されたケーキが小さいながらもホールケーキで、蓮は目を細めた。


セツカを演じつつも、律儀なキョーコの意図するところを読み取り自分の誕生日に好きな相手が何かしようとしてくれたことがうれしくて。


二人分の紅茶を入れて、テーブルに移動する。ちらりと、セツカが時計に目をやり日付が変わったことを確かめたのをカインは見ていた。


日付が変わって今は2月10日。


「こんな時間に…太るぞ」

「…いいでしょ、別に」

「まあ、もう少し肉をつけてもいいかもな。柔らかいほうが抱き心地がいい」

「もう、そんなこと言う!」


すねたセツカの振りをして、キョーコはケーキにフォークを突き刺して、ずいっと突き出す。


「ちょっと多いから兄さんも食べて」


目の前に突き出されたケーキに、蓮はカインの表情を一瞬崩して微笑んだ。


「仕方ない奴だな」


口に押し込まれたケーキを飲み込んで、一口分にしては大きかったため唇についたクリームを指で拭う。


「…甘い」

「兄さん」


キョーコはカインの中に一瞬覗いた蓮の表情を見つけて、ルール違反と分かっていて小さな声でつぶやいた。


「…おめでと」


俯いたキョーコの小さな声に、蓮は柔らかな笑みをうかべていた。