アイスクリームとの逢瀬はほどほどに | 妄想最終処分場

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滞ってる続き妄想は置いといて!刺激を受けて妄想むくむくだったのでこんなモノを書いてみました!

タイトルを見てアレ?と思われた方はたくさんいるでしょうね…

そう、前置きしておきますがこちらは魔人様の2周年記念捧げモノの一つである*aoichi* りかさんのテキスト『アイスクリームに恋をして**』に触発されて書いたモノです。該当テキストは*aoichi*内GIFTの中にあります。拝読希望の方は上記リンクよりお入りください。

読んで妄想大爆発した私は、行き詰っててるお話の気分転換に、自己消化のため非公開で書いてもいいですかー?と打診したところ、とんでもない条件を突きつけられ、このように公開に至った次第ですw

妄想起爆剤となったテキストが魔人様の捧げモノなのですから、当然公開するならこのお話も魔人様の懐行きです。


魔人様―!!2周年おめでとうございます!!←とってつけたようにw

これからもステキな二次世界の橋渡しをお願いいたしまっす!実はまだドボンしてない清らかな身ですが、今後も楽しいスキビ二次の末端に在籍したい所存でございますー。


最後に。

二次の二次的な妄想で、不快に思われる方もいるかもしれません。当ブログの初期案内にある通りの手順は踏んだ上の公開となっております。お名前を挙げてさせて頂いた方々にも事前に確認作業を終えております。苦情等ございましたら、関係部署でなく私までご連絡くださいませ。





*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆





「今日もスルの?」

「いけない、ですか?」

「いけなくはないけど…。ここ連日じゃない?」


笑いを含んだ声色で交わされる会話。

ほんの少し顰めた声量での会話は、どことなく密やかな雰囲気を醸し出す。



アイスクリームとの逢瀬はほどほどに



「約束は守ってますよ?そもそも回数制限なんてなかったはずですよ?」

「でも…そんなに連日だとキョーコが困らない?」

「なんで私が困るんですか?」


共に過ごす幸せな食卓がひと段落した後、するりと蓮の傍を離れたキョーコのその足は浮足立って見えた。


「ヒドイ女だね、キョーコは。本命を置いてけぼりにして今日もまた浮気だなんて」

「む…。意地悪な言い方…っ」

「だってそう言いだしたのはキョーコでしょ?寛大な恋人に言うことはないの?」

「…どこがっ」


恋人同士の蓮とキョーコの間で交わされる『浮気』という言葉。

本来であればキョーコに関してのみ嫉妬深く余裕のない言動を取りがちな蓮が許容できやしない言葉なはずなのに、そんな風にキョーコをからかって笑う蓮はどこか余裕な表情だった。


「で、今日の浮気相手は誰?」

「えーと、今日は…」


キョーコの浮気相手は複数いる。

背徳行為の実行は決めてるものの、本日のお相手を決めかねてるキョーコは真剣な顔で悩んでいた。


「んー…よし!今日はアナタ!」


うんうんと悩んでいたキョーコがようやく本日の浮気相手を決めたようだ。

ソファーに腰掛けた蓮からはその姿は見えないが、きっと冷蔵庫の前でさんざん悩んだことが手に取るように分かる。寛大な彼氏は己の脳裏に浮かんだ恋人の姿にクスリと笑みを零した。


パタンといつぞやの時代に三種の神器と称された電化製品の扉を閉めた音を確認して、蓮はスプーン片手に自分の元に戻って来るだろうキョーコの姿を確認せず背を向けたまま問いかけた。


「いつものヒト?」


食後にアイスクリームを食するのが最近のキョーコのお気に入り。

愛おしそうに、うっとりとそれを口に運ぶさまはまるで恋をしているかのよう。

愛しのアイスクリームとの逢瀬を『浮気』と揶揄するようになったのはキョーコの方からだった。


今まで浮気相手はかなりの数紹介されたが、キョーコが濃厚なチョコレートの彼がお気に入りなことを知ってる蓮は、こんな風に悩んで選んだ本日のお相手はやっぱり大好きないつもの彼なんだろうと思っていた。


「ちーがーいーまーすぅ」


パタパタと軽快な足音を立てて戻ってきたキョーコは、するりと蓮の膝の上に収まった。

するとキョーコの手の中からふわりと蓮の鼻腔をくすぐる香り。その少し大人びた香りに蓮は眉を顰めた。


してやったり、な顔をしたキョーコの手の中にあるのは、数ある浮気相手の中でたまにしか登場しないダークホース。


「え…?このヒト?」

「ふふふっ、寒い時期にあったかいところで、冷たいものを食べるって最高ですね」


少しだけ不機嫌な色をにじませた蓮の様子に気づかずか無視してか、キョーコは蓮の胸にぎゅうぅっと背中を押しつけて手の中の『彼』をじぃっと見つめている。


「暑い夏に冷房の効いた部屋で食べる鍋焼きうどんとか、コタツで食べるとアイスとか…」

「俺、こたつ?」

「だってあったかいんですもん、敦賀さんの身体って。コタツでアイス以上ですね。これだって高級アイスだし」


トレーニングで維持している筋肉質の体は代謝が高く、寄り添うキョーコには温かく感じられる。

そしてキョーコの手の中のアイスは、庶民的感覚のキョーコから見れば高級品。種類で言えばラクトアイスでもアイスミルクでもなく『アイスクリーム』に分類される代物だ。

暖を取るコタツが高級なのか手にしたアイスが高級なのか。


この浮気は本命である蓮の膝の上で。

見通しの良い浮気現場は、意見の違う二人で導き出した妥協点でこの浮気のルールだ。

最初は何かが違うと警戒心を持って蓮の膝の上に渋々おさまっていたキョーコだったが、浮気を重ねるうちに違う視点を持ったようだった。


「うふふ、贅沢~」

「恋人の目の前での浮気って背徳感が増すからじゃない?」

「禁断の…ってヤツですか?そうかもしれませんねぇ」


浮気に夢中なキョーコの気を引こうと、蓮が耳にかかる髪を梳いて軽く引いても耳元にキスを落として甘く囁いてみても、キョーコの恋する眼差しは手の中の彼から逸れなかった。会話自体もどこか上っ面であしらうような印象だ。

キョーコはスプーンを握りしめ、紙製の容器の縁をぐにぐにと押して食べごろの硬さを見極めている。

それがまた悔しくて、蓮は再度ちょっかいを出す。

ここ最近繰り返されているやり取りなのだけど、今日は浮気相手が浮気相手だけになんだかとっても面白くない。


「こんなに連日浮気すると、太るよ?」

「太りません!この浮気の為に食事量も調節してますし!それに…」

「それに?」

「浮気の後はいっつも嫉妬深い本命のお相手で、消費しちゃいますもん…」

「……」


いつもならキョーコの口から出てくるとは思えない返しは片手間に蓮の相手をするからついつい零れた本音なのか。

ねぇ、それって誘ってるの?期待してるの?と言いたくなった蓮は口許を緩めつつもその言葉は飲み込んだ。発してしまえばお決まりの破廉恥発言に約束も反故にされ、暫く蓮的食後のデザートにありつけなくなってしまう。


「おいしそ…」


キョーコ好みの食べごろになったのかスプーンを容器に突き刺し、程よく柔らかくなった一口分救い上げられた彼。

クリーム色のバニラアイスの中にレーズンがのぞき、甘い香りの中にふわりと漂うラムの香が僅かな苦みと酸味を思わせる。


匙の上でトロリと滑らかな表面でキョーコを誘う浮気相手。

その魅力に取りつかれたキョーコは赤い唇を開いて彼を迎え入れる。待ちきれないとでもいうように、小さな舌がちろりと開いた唇から覗いた。


妙に艶めかしい恋人の浮気現場を、蓮はキョーコの耳元や頬に口づけを落として見守る羽目になる。

スプーンごと口に含んだまま、ふるりと震える痩躯をきゅっと抱きしめると今度は蓮の体温にキョーコの体がまるで先ほどのアイスクリームのように溶ける様に緩まった。


「~~っ……おいし…っ…!」


口に含むたびその美味しさゆえか、冷たさゆえかフルフルと震える身体をその度に蓮は抱きしめ直す。

包み込まれる度に安心するように弛緩する癖に、キョーコの眼差しは浮気相手に向いたままだ。


「そんなに?」


そのうちに、蓮の不機嫌さの原因が顔を出し始める。

大本命のチョコレートの彼では出ない反応が、ダークホースの彼が持つ魔力。

割合にしてほんの1.6%のアルコールが、キョーコの眼差しを潤んだものに変化させていく。



キョーコがお酒に極端に弱いと蓮が気づいたのは付き合いで飲んで帰った日の事。

酒で緩んだ理性でキョーコの唇を貪れば、吐息と舌先に残ったアルコール分で簡単にキョーコはとろけてしまった。

上気した頬に潤んだ瞳で見つめてくるキョーコは普段とは違った艶やかさと可愛らしさをのぞかせる。その無意識の小悪魔の瞳が自分を映す快感は言い知れない。

その夜の味をしめた蓮は、時折意図的に自分に残るアルコールをキョーコに口付けで分け与えていた。



それが、だ。

蓮のささやかな秘密だった小悪魔が、浮気相手の魔力で現れる。


「キョーコ…」


少し強めに耳朶を甘噛みして、ラムレーズンの魔力に対抗するように蓮は甘く甘くキョーコの意識を溶かすように囁きかける。

そんな夜の帝王の努力空しく、小悪魔は潤んだ瞳で浮気相手との逢瀬に夢中だ。

飽きもせず一匙掬ってはうっとりと口に運ぶキョーコ。時折唇にトロリと垂れた乳白色の雫を、あわてて赤い舌先が舐めとっていく様がどことなく淫靡で、その光景を作り出しているのが浮気相手であることに蓮の嫉妬心が少しずつ大きくなる。


「ねぇ、キョーコ」

「なんですか…?」


負けじとキョーコの気を引くことに蓮が努力すれば、やっとキョーコの声が返って来るが潤む瞳は貰えない。


「浮気相手と俺、どっちが良い?」


いつも繰り返されるこの質問。


「んー…」


いつもだったら『毎回同じこと』、と詰りつつも蓮の望む答えをくれるキョーコなのに。


「今は、浮気相手…かなぁ」

「………」


手の中の彼のように、甘く蕩けたキョーコは簡単に蓮を傷つける言葉を吐く。

いささかむっとした蓮は、ひょいとスプーンを取り上げた。


「あんっ」


逢瀬を邪魔され甘ったれた声を上げ、むっとした表情で振り返ったキョーコの顎を取ると、蓮はその唇に強引に口付けた。


「んっ…」


舌先で唇を割り口内に侵入すると、キョーコが楽しんでいた甘さとラムの香が蓮の舌にも絡まる。

それもなんだか悔しくて、蓮は驚いて逃げ惑うキョーコの舌を絡め取り浮気相手の残滓を奪い去っていく。

キスに浮気相手の残り香が完全になくなり、甘いキョーコの吐息だけしか感じなくなる頃になってやっと蓮は貪っていた唇を解放した。


「…ねぇ、どっちが良い?」


強引なキスで無理やりキョーコの意識を引きつけた蓮は、僅かなアルコールに潤んだキョーコの瞳が自分を捉え、先ほどのキスで崩壊寸前まで蕩けたことを確認してニヤリと嗤った。


「もう一回教えて欲しいから……ね?」


半分以上残っている浮気相手をキョーコの手から奪い、ソファー前のローテーブルに投げ落とす。

軽い紙製の彼はかたんと軽い音を立ててローテーブルに綺麗に着地した。


「そんなの…」


言葉の代わりに蓮の首にスプーンとカップを奪われたキョーコの手が絡みつく。蓮の首筋を撫でた左手がひやりと冷たい。その冷たさが彼の存在を思わせて、蓮は早く自分の熱でキョーコを塗りつぶしたかった。


キョーコからキスを貰ってようやく満足気に微笑んだ蓮は、本格的にキョーコの体温を上げにかかる。

踊るように揺れるキョーコの四肢の向こうに、二人の熱に当てられたかのように食べ時を過ぎて液体になってしまった浮気相手が蓮の視界を掠めた。


明日の朝には高級なのに!半分しか食べてないのに!と怒るキョーコに、じゃあ全部食べていつもの2倍、カロリー消費に協力してあげようかと答える自分を頭の片隅で想像し、蓮は自分を誘う小悪魔の誘惑に喜んで乗るのだった。