超ありきたり。しかも短い。何を書きたかったんだ・・・??
お片付け
「きれい…」
キョーコはうっとりとそれを持ち上げて丁寧に羽根はたきで埃を払い柔らかい布巾で表面を拭う。
「また来年」
そしてそっと、恭しく柔らかい紙に丁寧にくるみ箱の中におさめる。
「そんなに好きならもうちょっと出しておけばいいのに」
別れを惜しむように丁寧に片づけているキョーコに、蓮は不思議そうに声をかけた。そんなに惜しむなら飾って愛でればいい。人形だってこんなに愛されているのならば、ほとんどを暗い箱の中ですごし一年の限られた一時だけ日の目を見るのでは可哀想ではないか。
「だってお雛様はだしっぱなしだと………あ」
そう言いかけて、キョーコは手を止めた。
「なに?」
ぴたりと手を止めたキョーコは何やら迷う表情で視線を彷徨わせている。
「いえ…」
「そもそもなんでそんなに急いで片付けなきゃいけないの?」
「そう…ですよね。私にはそんな理由、ないのに」
ブツブツと呟いたキョーコは箱の中におさめかけた雛人表を再度持ち上げ、丁寧に包んだ紙を解こうかどうしようか迷っている。
むむむ・・・と迷っているキョーコに蓮が首をかしげる。悩んでるキョーコの袖をツンと引っ張り、蓮が理由を教えて?と目線で訴えた。
「雛人形…節句が終わったらしまわないと、お嫁に行き遅れるって言われてるんです」
「そっか。ならしまわないと」
「……私、お嫁はおろか恋愛をしないと誓ってますから、そもそも行き遅れる心配をしなくていいような…」
そんな心配なんてしなくていいのにね、と蓮は内心思ったが、未だ結婚はおろか恋人の座も射止められていない状態なのだから何とも言えない。
「大丈夫。行き遅れを心配するなら、俺のお嫁さんになる?いつでも歓迎だよ?」
「は?何を言ってるんですか?そもそも嫁に行く気が無いって言ってるじゃないですか」
人形を手に、でも心底理解できないという表情でキョーコは蓮を振り返った。
「うーん。じゃ俺をお婿さんに貰ってくれるでもいいよ?」
「何ですかソレ」
結構ストレートに行ってみたところで相手はキョーコ。全く響かないことに蓮は苦笑するしかない。
「まあ…そんなに気入って眺めていたいなら、好きなだけ出しておいて愛でるのだっていいんじゃない?人形だって年中真っ暗な箱の中じゃ可哀想でしょ?」
「そう言われれば、それも一理ありますね…」
まあ、ちゃんと片付けて行き遅れ防止を図っても、好きなだけ愛でても何も困りはしないけどね。
と、片付け途中で逡巡するキョーコを眺めていたのは、数年前の事。
「どうして片付けさせてくれないんですか」
羽根はたきと布巾を手に、片付け準備をしようとするキョーコの邪魔を蓮はしていた。
せっかくキョーコが出した箱を再度クローゼットの…しかもキョーコの手の届かない高い位置に仕舞い込む蓮に抗議の声が止まない。
「雛人形は片付けなきゃいけないんです!」
「もうキョーコは行き遅れなんて気にしなくていいから、もっと飾っておけばいいじゃないか。好きだろう?雛人形」
「だってこれは…っ」
蓮とキョーコの前に飾られているのは、数年前キョーコが片付けるべきか否か悩んでいた雛人形。
「もう私のじゃないんですよ!?」
蓮の努力の甲斐あってキョーコの行き遅れは防止され、些細な言い争いをする夫婦の横では愛娘がベビーベットで安らかな寝息を立てている。
「子供が生まれたら雛人形は受け継いでこの子のために飾るんです!私はともかく、あなたはこの子まで愛の欠落者にしたいんですか!?」
「お嫁なんて行かなくていいじゃないか…。この子が他所の男になんて考えたくない」
娘を溺愛する蓮は、まだまだ先の遠い未来でさえそんな想像には耐えられない様子だ。
「っ!この親ばか!!ゼロ歳児相手に何を妄想してるんですか!」
そんな夫婦喧嘩を眺める雛人形はこんな光景を年中見せつけられるくらいなら、箱の中でゆっくり休みたいよなぁ…とリビングに鎮座している雛人表の眉が呆れたように下がっているような気がしないでもない。
そんな平和な家族のヒトコマ。
~~~~~~~~~
ひねりも何もない…。だからなんだ。
どうやら連載のヘタ蓮に脳が疲れているようです…orz