12月24日午後11時55分。

クリスマス・イブのサプライズとして、華やかな登場を果たした彼女。その瞬間から、アルマンディのクリスマスパーティの主役となり、パートナー役のアルマンディの最高経営責任者アレクシス・ガーランドから片時も離れることなく、出席者相手に談笑を続けていた。間に何度か二人で衣装替えをしながら。当然ながら、俺の手でこの場所から連れ去ることもできていない。

それでも、俺は足掻いていた。その瞬間だけは、誰にも渡したくなくて。

そして。

「誕生日おめでとう最上さん!」

会場がクリスマスへのカウントを終えた瞬間、彼女に近づき、花束を差し出しながら声をかけた。そして会場には、クリスマスソングに続いて、ハッピーバースデーの曲がかかった。

今年もクイーン・ローザ3輪を送る予定だったが、この場で彼女に近づくためにはもっとインパクトの強い花束が必要だった。彼女を連れ出すことを諦めた1時間程前に手配した、パープルローズ100本の大きな花束。それを手に彼女の前に立つ。誕生日を祝うため、それ自体を理由にしてやっと近づけた彼女に、微笑みながら。

「あ、ありがとうございます。敦賀さん」

驚きながらも、喜んでくれた彼女。近くで見る今日の彼女は凄まじいまでの美しさで。見蕩れて固まってしまいそうになったがなんとか踏みとどまり、この機会に彼女を攫ってしまおうと、とっておきの笑顔で社長に暇を請おうとしたが。

彼女に近づくためにアルマンディのスタッフを巻きこんだのが間違いだった。仕事の早い彼らは、曲の演出サービスだけではなく、クリスマスパーティの場をあっという間に彼女の誕生パーティの場へとチェンジさせた。それも、アルマンディの商品を絡めての見事な演出で。

アレクシス・ガーランドの手には、アルマンディのクリスマス限定品、しかも特注カラーのコートが。そして、その彼はすでにお揃いのコートを身につけていた。
お揃いのコートを纏うカップルもどきの下には、恭しく祝いの品を捧げる今回の仕掛人であるアルマンディの主任デザイナーの姿もあった。そして、裏方以外の、パーティに出席していたスタッフ総出で繰り広げられるプレゼント合戦というか、宣伝。金持ちのVIP顧客に、アルマンディのプレゼントの素晴らしさをこれでもかというほど見せつけるために。
そして、事前に聞かされていたのか、彼女は女王然とした微笑みでそれを受け取ってみせていた。


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12月25日午前0時30分。

今年も彼女の誕生日を一番に祝うことに成功した俺。
彼女の記憶に残っているかは怪しいところだが、それだけが救いだ。

俺の戦いは・・・・・・いったいいつ終わるのか。


fin




メリクリ&キョコ誕デーということで、血迷って始めちゃった、リク魔人による二次。
初めてということで、超☆駄文でも、勘弁してください。


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