いつから放置してるんだかもう記憶にない、ブログ開設3日目に仕掛けた罠への自爆ドボン作。読み直すだけでは書けない気がしてきたので、修正しながら1話から順にアップしていきます。

素敵な獲物さん作でなくて、ほんと申し訳ないです。(´・ω・`)

魔人の作なんて、興味ないし!という99パーの方はバックプリーズ。

暇つぶしのために読んでやるぜ!という勇者さんのみ読んでくださいね。(;´▽`A``



逃げ足◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇逃げ足
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逃げる彼女をつかまえろ!第8話


「キョーコ!キョーコってば、ちょっと待って!」

この数週間というもの、超売れっ子俳優である某先輩以上に忙しい日々を送り、秒刻みのスケジュールをこなしていた最上キョーコは、次の現場であるスタジオを目指して早足で歩いていた。

そこに聞こえてきたのは、遥か後方から自分の名を呼ぶ、愛する親友の声。

その瞬間急いでいたことも忘れ、満面の笑みで振り向いたのはキョーコにとっては最早条件反射。そして、超高速移動であっという間に親友、琴南奏江のもとに駆けつけ、その身体に抱きついたのもお約束の行動。

「モー子さぁぁぁあああんん!!!久し振りぃ!!やーん、会えて嬉しいぃぃ!!」

久々に抱きつく事に成功したことで、キョーコのテンションは最高レベルに達していた。これぞご機嫌!という顔と口調で、親友に戯れ付く。

「モぉー!離れなさいよ!動けないじゃない!」

「だってぇ、モー子さんと会うの久々なんだものぉ!もぉ嬉しくって!!」

奏江を見上げながら、本当に嬉しそうにフニャフニャと可愛らしく笑うキョーコ。

そんなキョーコに口では文句を言うものの、照れて赤面しているため迫力にかける奏江。

なかなか微笑ましい光景である。

「メール読んだわよ。あんた、引っ越すってホント?」

「うん、あ!時間がないんだった。モー子さん、移動しながら話してもいい?私はBスタジオに行くんだけど……」

「私もあっちに行くつもりだったからいいわよ。で、引っ越しの件は?」

先ほどまでよりはゆっくりと。それでも早足といえるスピードで移動しつつ会話をすすめる二人。

「うん。合宿生活で最低でも3ヶ月はマンションを留守にすることになるから、勿体ないし、物騒でもあるから、一旦部屋を引き払ったのよ。どうせあの部屋からは近々引っ越そうと思ってたし、次が決まるまで、荷物は会社で預かってもらえることになったから」

「うん、それで?」

「そしたら、今お世話になってるその合宿所というか、寮の皆さんがどうせなら本格的に引っ越してきたらいいって、言ってくださったの!」

「ふーん。でも、そんなに大勢と住んだら、気が休まらないんじゃないの?」

自身の家族からの干渉を迷惑に思っている奏江にとっては当然の疑問である。

「それがね!自分でもビックリなんだけど、とっても住み心地がいいの!皆さん凄く優しいし!」

「へー、それならいいんじゃない?女子寮で、セキュリティーはバッチリなんでしょ?」

「そうなの。おまけに、仕事の帰りにはお迎えまで来てくださるのよ!」

「あんたにしては珍しいわね、そんな申し出、いつもなら断るでしょう?」

そう、キョーコはそういう人間だ。

「うん、実際、最初はお断りしたのよ?今はテレビ局でのお仕事の後にもイロイロ用事があるから、迎えに来てもらう場所も広範囲になるし。でも、帰りに食材の購入を頼みたいからその荷物持ちも兼ねて行くって言われると……」

「?」

「あのね?女性でも格闘技をされているから、皆さん凄い量を召し上がるのよ。そうなると、お米とかもしょっちゅう買わないといけないし、流石の私も毎日1人で買い物するのは難しいかなーーと・・・両手で持てる量を超えちゃうし」

「そんなに寮生の人数多いの?っていうか、どうして、忙しいあんたが買い物する必要があるわけ?もしかして、食事作ってるの?」

「今寮にいるのは20人なんだけど、全員揃えば30人ぐらいにはなるらしいわ。でも食事は普段いる20名で50名分は必要なのよ。あと、お料理するのは、強制じゃないのよ?でも、皆さん凄く喜んでくださるから……つい、ね?」

「つい、って!」

「だって、凄い食べっぷりで……見ていて気持ちがいいのよ」

(この子、クー・ヒズリの食事の世話してたときにも、そんなこと言ってたわね。食べっぷりが気持ちいいから作るなんて、あの先輩に聞かせてあげたいわ)←意地悪

「そ、そう。でも、無理しちゃ駄目よ?仕事に差し支える日には断るのよ?ま、そんな量の買い物するなら、荷物持ちは当然だわ!遠慮なんて捨てて、お迎えしてもらいなさいよ」

「うん、有り難う。そうする」

「ところで、お迎えは女の子だけなのよね?」

「うん、毎日3~4人で来てくれるんだけど、全員女の子よ。敷地内に男性のお弟子さん用の寮もあるけど、男性は師範代クラスの方としか面識がないし、私とは接点があまりないの」

(ふーん。ヨカッタですね、セ、ン、パ、イ)←

「へぇ。でも、女子でも格闘家の卵なのよね?1人ならボディガードにはならないかもだけど、3~4人いるならまあ安心かもね。私も殺陣とかいつかは習いたいと思ってるし、時間が空いたら一度見学がてら遊びに行っていいもいい?」

「うん、来て来て!モー子さんなら大歓迎よぉ!」

(寮の件はこんだけ聞けばいいわよね。あとは……)

「ねぇ、受験はどうする気なの?」

「うん、やっぱり行けるもんなら行っておきたいし、頑張ってみることにしたわ」

「そうね、あんた頭いいんだし、私も行ったほうがいいと思うわ」

「有り難う、モー子さん」

「そういや、あんた、料理本の話も受けたんでしょ?勉強する時間は大丈夫なの?」

「うん、それはそんなに長い期間じゃないし。今までも勉強だけに集中できたことなんてなかったから慣れてるの」

(仕事の合間に勉強してたんだものね……)← ちょっと泣きそう

「そう。ならいいけど。あ、もうスタジオに着いちゃったわね。また何かあったら連絡するのよ?」

「うん、わかった。モー子さん、心配してくれて有り難う!」

キョーコがブンブンと千切れんばかりに手を振りながらスタジオ内に入っていくのを見守ったあと、奏江は何故か元来た道を引き返した。

「モぉー!確かに私も聞きたいことだったけど、隠し撮りまでさせるなんて!これじゃまるで私が変態みたいじゃない!あのヘタレ俳優め!

そして、某ヘタレ先輩俳優への文句を盛大に呟きながら、身体から隠しカメラとマイクを外すと、今日の本当の仕事先である別のテレビ局に向かったのだった。



<9>に続く


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