「あなただけに意地悪ー元ラブミー部員達からの鉄槌16ー」



「あの男も落ちるところまで落ちたわね」

「そうですね、男としてどうかと思っていましたが、こうなると役者としても・・・・・・」


敦賀蓮と最上キョーコが半年振りの再会を果たした夜。元ラブミー部員達の基地ことマンションでは、その日の報告と今後の作戦会議が行われていた。


「・・・・・・私の演技って、そんなに酷い?演技中でも自分自身にしか見えないくらい・・・・・・?」

帰宅したときから変わらない固い表情のまま、キョーコが尋ねれば、それを即座に否定する琴南奏江と天宮千織の二人。

「もー!そんな訳ないでしょ!あの男の目が腐ってるのよ!」
「そうです!幾ら自分の彼女でも、あり得ませんよ、役者失格です!」


「あんた、昔、いい加減な気持ちで役者をやるつもりかって、あの男にイビられてなかった?」

「う、ん・・・・・・誤解だってわかってもらえるまでは・・・・・・・・・・・・」
「そうなんですか?そんなこと言ってた癖に自分はオンオフの区別も、演技に集中することも出来てないなんて。最低ですね!!!」



「そう・・・よね。モー子さん、雨宮さん、私・・・・・・決めたわ!」
「「キョーコ(さん)?」」


「今度の映画を観ても・・・・・・スクリーンの中にいるのがヒロインの紅子だって思ってもらえなかったらね?」
「うん」「はい」


「敦賀さんとの付き合い方を変えようと思うの」
「「?」」


「だって。あんなに演じることにプライドを持っていた敦賀さんがよ?」
「「・・・・・・・・・・・・」」



「あんなこと言うようになるなんて、ほっとけないわ!」



「別れるとかじゃなく?もー!!あんな頭のおかしな男もう捨てちゃいなさいよ!あんたが面倒みたげることなんてないわ!」

「そうですよ!生ゴミはゴミ箱へいれておけばいいんです!キョーコさんがなんとかしてあげる必要なんてありませんよ!」



「あの・・・・・・ね?ホントは最初から・・・・・・付き合い出したときから・・・・・・おかしかったの」

「「はい?」」



そうしてキョーコが話した内容に、ふたりは絶句してしまった。



※未読な方は「Bubble Shower」ピコさんに叶えていただいた、魔人リク成就作品を先に読んでくださいね。「大嫌いでも愛してる -前篇ー」「大嫌いでも愛してる ー中編ー」「大嫌いでも愛してる ー後編ー(アメンバ限定)」「大嫌いでも愛してる -後日談ー」「あなただけに意地悪ー元ラブミー部員達からの鉄槌ー」は、このあとのお話となっています。




「あの時の敦賀さんは・・・・・大魔王よりも凶暴で暗黒の突き刺すようなオーラを身に纏ってて。本当に怖かったわ。でも、あの人は強くて、弱いの。すぐに闇に捕われちゃうの」


「だからって、あんた・・・・・そんなレ○プ紛いなことされて、よく許せたわね」
「そうですよ、完全に犯罪じゃないですか!」

「うん」
クスッと思い出し笑いしながら、キョーコは答えた。


「だって。プクク・・・・・裸で土下座されちゃったのよ?あの・・・・・いい男で抱かれたい男No.1の若手演技派俳優がよ?もう滑稽すぎて・・・・・プクク」


「「裸で土下座する・・・・・敦賀蓮?」」

「うん。おかしいでしょ?あり得ないでしょ?プクク」


「そ、そうね。ありえないわね」
「そうですね。ありえないですね」


キョーコから聞かされた衝撃的な告白に奏江も千織も顔を引きつらせていたが、そのうち吹き出して大笑いしだした。キョーコと3人でお腹を抱えて笑い転げた。


「もー、しょーがないわね!あんたがいいなら、応援するわよ」
「私もです!」


「うん。今度こそ、ちゃんと手なずけてみせるわ!あの猛獣を!」
「飼い主さんは大変ねぇ」
「飼い主というより、猛獣使いって呼んだほうがよさそうですけどね」


「「プッ!そうね」」

千織の的を得た表現にまた笑いこける3人。


そして、漸く笑いが治まったとき、3人の瞳は強い決意で輝いていた。


「「「覚悟しなさい、敦賀蓮!私達がその根性を叩き直してあげるから!」」」

「「「大サービスでとびきりの鉄槌をお見舞いしてあげる!」」」



この夜、密かにある重要な項目に変更が加えられた敦賀蓮への「元ラブミー部による愛のムチ作戦」。それを知るのは、今も、これからも、変更を加えた最上キョーコと、琴南奏江、天宮千織の3人娘だけだった。

続く


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