いつから放置してるんだかもう記憶にない、ブログ開設3日目に仕掛けた罠への自爆ドボン作。読み直すだけでは書けない気がしてきたので、修正しながら1話から順にアップしていきます。

素敵な獲物さん作でなくて、ほんと申し訳ないです。(´・ω・`)

魔人の作なんて、興味ないし!という99パーの方はバックプリーズ。

暇つぶしのために読んでやるぜ!という勇者さんのみ読んでくださいね。(;´▽`A``



逃げ足◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇逃げ足
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逃げる彼女をつかまえろ!第12話


社に叱られた後、逸る気持ちをなんとか押さえ、法定速度を守りながら車を走らせた蓮は、目的地であるテレビ局に到着するなり、周囲を見渡し始めた。

(蓮の奴、早速キョーコちゃんセンサーを起動させやがったな)

蓮のこの行動はある意味いつも通りのものなので、マネージャーである社は、飽きれながらもそれを見守っていた。

(今回は目的地が同じ訳だし、いつもみたいに発見出来ずに落ち込むことはないだろうけど……もう少し落ち着いてほしいかも…)

常に落ち着いた雰囲気の大人の男という印象を与えている「敦賀蓮」は、この場にはいない。

今、社の隣りを歩いているのは、キョロキョロキョロキョロと落ち着きなく周囲を見渡し、必死にキョーコを探す、自身の恋心に振り回されまくっている青年である。

その必死さが通じたのか。

社の言うキョーコセンサー起動から3分後、蓮の目は吸い寄せられるように数十メートル先の非常階段に向う華奢な背中をとらえた。

「あ!すみません、社さん!俺、先に行きます!」

「へ?れ、蓮?」

急に走り出した自分の担当俳優に驚きはしたが、どうせキョーコちゃんでも見つけたんだろうと、社は蓮の後を追わずに、自分はエレベーターホールへと向った。



蓮が階段下に辿りつくと、軽やかにそれを上っていく想い人の姿が見えた。

「最上さん!」

まだロビーから近いその場所で大声を上げるわけにはいかず、少し声を抑えて呼びかけてみる。

しかし、いつもならきっと直ぐ様振り返り、その可愛らしい笑顔を見せてくれる筈のキョーコが、今日は蓮の呼びかけにピクリとも反応せず、軽やかに、そして、かなりのスピードで上へ上へと上がっていってしまう。

蓮に気づく事もなく。

蓮を置き去りにするかのように。

遠のく背中を縋る様に見つめる蓮の心に不安が過る。

このまま、手の届かないところに行ってしまうのではないかという不安が。


「最上さん?」

再び呼びかけるが、怯えがつい声にでてしまう。

それでも振り返らないキョーコ。

竦む足をなんとか動かし、必死に追いつこうとするが、いつものようには足が動いてくれない。

「最上さん!!!」

縋るように、愛しい人の名前を、今度は大声で叫ぶ。


そして……



<13>に続く


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