4月に「ま~さん」さんから、頂いたリクです。リク罠加工する予定でしたが、気まぐれに書かせていただきましたよ。
でも、魔人はテレビあんまり見ないから・・・・・・・イメージが違うかもしれません。そこは勘弁してくださいませ。(お笑いタレントさんの名前もわかんないし)
*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆
「彼の選択基準」
「敦賀さん、さっき説明した通り、100均のお店で売ってそうな、100円で買えそうなものを選んでくださいね?」
「うん、ちゃんと、わかっているよ。最上さん」
ドラマの番宣で出る事になった、バラエティ番組。
ゲストが100円商品に紛れ込んだ高級品を避けて買い物をするというゲームに参加することになった俳優の敦賀蓮と、同じ事務所の後輩でタレント兼女優の京子こと最上キョーコは、与えられた楽屋での「キョーコの講義」を終え、収録スタジオへと向っていた。
その道中も、大スターでセレブな蓮の金銭感覚が信用できないキョーコは、必死に「勝つために必要な知識」を教えこもうとしていた。後ろを歩く、蓮のマネージャーである社にその必死さを笑われながら。
「安いものと言っても1万円とかじゃないですからね?」
「・・・・・・・・・うん、わかってる。俺だって100円硬貨位使った事あるっていっただろう?」
「それは自動販売機とか事務所やテレビ局の食堂で、ですよね?外でのお買い物で敦賀さんが小銭で買える物を買ったことがあるとは思えません。それとも、あるんですか?」
「・・・・・・・・・・ないけど」
「うん、俺も見た事がない」
後ろから社が、本日のキョーコ的には有り難くない、お墨付きを与える。
「そうでしょうとも。・・・・・・・・・・・はぁ」
「うん、ごめんね?」
「いえ、それは仕方がないことです。敦賀蓮なんですから!それはともかく。今日、ゲームで選ぶべきものが、敦賀さんの感覚で安いものではないことだけは、理解してくださいね?一般庶民感覚の安いものですよ?もう一度言いますけど、100円玉1枚で買えるものですからね??」
「はいはい」
「今日のチャレンジはアクセサリーと、食器類の特集でいくそうですから。敦賀さんはアクセサリーの方の担当ですからね?本物ではない、おもちゃを選べばいいんですから、わかりますよね?宝石が入ってなくても、ブランドものや、作家物っぽいものは避けてくださいよ?」
「了解。そんなに心配しなくとも大丈夫だよ。間違えたって、それを買い取ればいいだけの話だろう?」
「そんなの駄目です!!今回はスペシャル企画で、ゴージャススターな敦賀さんの為に、洒落にならない額のものが混じっているって聞いてます!私の方は通常通りですけど、それでも10万円以上のものが入っていると聞きました」
「ゴージャススターって・・・・・・・・・・・」
「とにかく、私は負けるのは嫌ですし、高価で不必要なものなど買う羽目になるのはもっと嫌です!敦賀さんもちゃんと勝ってくださいね?」
「うん・・・・・・・・・・・まぁ、がんばることにするよ」
そして、始まったバラエティ番組「jumping door」の収録。
蓮と京子がゲストとして登場するのは番組の人気コーナーである「100円かもね?」である。
何の紹介もなく、二人は100均のお店を模したセットに「買い物客」として入っていった。
コーナーは、おばさん風に女装した芸人達のトークからスタートした。
「あら?あの人たち、俳優の敦賀蓮と京子じゃない?」
「うそーー?そんな人たちが、こんな店にくる?」
「世の中不景気だからねぇ。実はゴージャススターも、内実は火の車で、日用品はこういうとこで買ってるのかもよ?」
「ええーー!敦賀蓮が100円のコップでお酒飲んだり?100円の下着つけたり、100円のボディクリーム使ってるかもってこと??」
「「「「ナイナイ!!」」」」
「ここには、たまーーーに高いものも売ってるし、それ狙いじゃない?」
「あ、何か選んでるわよ。何買うか、見ときましょうよ!」
最初にゲームに挑んだのは京子で、なんの迷いもなく、「これにします」と、100均の可愛らしい柄の小皿を手にレジへ向った。
その後も、「これはいいお皿ですねぇ。でも、今の家に古伊万里じゃあ宝の持ち腐れなんで」とかなんとか言いながら、それを置き、変わりに100均の派手な大皿をレジに運び、次は、「これアンティークですよね。可愛いけど・・・・・・・・・・・こちらにします」と、同じく一見レトロに見える100均のマグカップを選び、3戦3勝でチャレンジを終えた。
自分の番を実に危なげなく終えたキョーコだったが、その目は不安げに次のチャレンジャーである先輩俳優に向けられていた。
その先輩の1回目のチャレンジは。
いやーーー!敦賀さん!そんなの持ち上げないで!!な、何故私の方を向いて満面の笑み?
「それは高そうですよ?ほ、他のものを」
小さな声で囁いてみるが、先輩俳優は応えるように頷いたくせに、それを手にレジに向ってしまった。
「ピッ!38万円でございます。こちらは、今、セレブに大人気なイギリスのアクセサリー作家リチャードの髪留めで、すべて天然石、台はアンティークのものを使用した、1点ものでございます」
それを聞いて
「ああ!!」と叫んだキョーコが顔色を悪くすれば、
芸人達は
「流石セレブねー!」と拍手を送る。
蓮はにこにこしながら、代金を支払い、その「高級すぎる髪留め」を京子の髪につけた。
「うん、凄く似合うよ」
「つ、敦賀さん、何で私につけるんですか!こんな高級品!冗談でも身につけるのは怖いですからやめてください!それと、100円の商品を選ぶんですよ?さっき説明しましたよね?」
「怖いだなんて失礼な。ゲームのことはわかってるよ?でも、これ君にピッタリだと思ってね」
「あら?どうしたのかしら?なんだか揉めてるわよ?」
「あ、でも、また買い物を始めたわよ?次は何を買うのかしら?」
「つ、敦賀さん、それも明らかに高いですよ?」
「うん、そうだね」
「早く、それを置いてください。その横の奴はセーフですから、そちらを是非」
「これ、いい色だよね」
「ですね、でもどうみても100円じゃないですから、それは駄目です」
「うん、絶対似合う」
「だから、敦賀さん何を・・・・・・・・・・・って、レジに向うならこっちのを!!」
当初は後輩として黙って蓮の買い物を見守るつもりの京子だったが、もう黙っていられなかった。が、必死の制止にも関わらず、蓮が選んだものは。
「ピッ!83万円でございます。こちらはアメリカの人気ブランド、キャリーのプラチナネックレスです。このペンダントトップの天使の目はダイヤでできていまーす」
最後は。
「ピッ!130万円でございます!コーナー最高額!あの有名なレノアのブレスレット。このシールを剥がすと刻印が・・・・・・・・・・・ほら!あるんですよ」
「流石ゴージャススター!!3点目も涼しい顔して払ってたわよぉ!!」
「あれ1つで、軽自動車が買えるわよね」
「3つで251万円!うちの息子の年収だわー!」
結局3回のチャレンジすべてで高級品を選んでしまった(?)が、その値段に驚く事もせず、いつも以上に爽やかに、ご機嫌な様子で支払いを済ませた蓮に、芸人達が賛辞を贈りまくることで、そのコーナーは閉じた。
収録後、すぐ様髪留めを外し、蓮に押し付けたキョーコだったが、お小言をいう前に、時間がないからと待ち構えていた次の仕事の現場のスタッフに連行されてしまった。
キョーコの後ろ姿を見送りながら、髪留めを手で弄んでいた蓮が
「またあとでね」
というキョーコ的に嫌な予感しかしない言葉を発していたことには気づかずに。
そして、その日の夜。ラブミー部の仕事で、蓮の家に晩ご飯を作りにきていたキョーコは、番組で「蓮が買ってしまった高級アクセ3点」と、何故かプラスアルファーされた洋服数着を、強制的に受け取らされる羽目になったのだった。
「敦賀さん、100円の商品選ぶ気ありましたか?」
「うん、あったよ?でも、あれもこれも、君に似合いそうだったからね?」
この数ヶ月後、先輩俳優との交際を始めてからも、聞かされ続けることになるとは知らない、
「君に似合いそうだったからね?」
という甘くて危険な言葉を。
この夜には、ただただ、諦めモードで聞いたのだった。
fin
でも、魔人はテレビあんまり見ないから・・・・・・・イメージが違うかもしれません。そこは勘弁してくださいませ。(お笑いタレントさんの名前もわかんないし)
*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆
「彼の選択基準」
「敦賀さん、さっき説明した通り、100均のお店で売ってそうな、100円で買えそうなものを選んでくださいね?」
「うん、ちゃんと、わかっているよ。最上さん」
ドラマの番宣で出る事になった、バラエティ番組。
ゲストが100円商品に紛れ込んだ高級品を避けて買い物をするというゲームに参加することになった俳優の敦賀蓮と、同じ事務所の後輩でタレント兼女優の京子こと最上キョーコは、与えられた楽屋での「キョーコの講義」を終え、収録スタジオへと向っていた。
その道中も、大スターでセレブな蓮の金銭感覚が信用できないキョーコは、必死に「勝つために必要な知識」を教えこもうとしていた。後ろを歩く、蓮のマネージャーである社にその必死さを笑われながら。
「安いものと言っても1万円とかじゃないですからね?」
「・・・・・・・・・うん、わかってる。俺だって100円硬貨位使った事あるっていっただろう?」
「それは自動販売機とか事務所やテレビ局の食堂で、ですよね?外でのお買い物で敦賀さんが小銭で買える物を買ったことがあるとは思えません。それとも、あるんですか?」
「・・・・・・・・・・ないけど」
「うん、俺も見た事がない」
後ろから社が、本日のキョーコ的には有り難くない、お墨付きを与える。
「そうでしょうとも。・・・・・・・・・・・はぁ」
「うん、ごめんね?」
「いえ、それは仕方がないことです。敦賀蓮なんですから!それはともかく。今日、ゲームで選ぶべきものが、敦賀さんの感覚で安いものではないことだけは、理解してくださいね?一般庶民感覚の安いものですよ?もう一度言いますけど、100円玉1枚で買えるものですからね??」
「はいはい」
「今日のチャレンジはアクセサリーと、食器類の特集でいくそうですから。敦賀さんはアクセサリーの方の担当ですからね?本物ではない、おもちゃを選べばいいんですから、わかりますよね?宝石が入ってなくても、ブランドものや、作家物っぽいものは避けてくださいよ?」
「了解。そんなに心配しなくとも大丈夫だよ。間違えたって、それを買い取ればいいだけの話だろう?」
「そんなの駄目です!!今回はスペシャル企画で、ゴージャススターな敦賀さんの為に、洒落にならない額のものが混じっているって聞いてます!私の方は通常通りですけど、それでも10万円以上のものが入っていると聞きました」
「ゴージャススターって・・・・・・・・・・・」
「とにかく、私は負けるのは嫌ですし、高価で不必要なものなど買う羽目になるのはもっと嫌です!敦賀さんもちゃんと勝ってくださいね?」
「うん・・・・・・・・・・・まぁ、がんばることにするよ」
そして、始まったバラエティ番組「jumping door」の収録。
蓮と京子がゲストとして登場するのは番組の人気コーナーである「100円かもね?」である。
何の紹介もなく、二人は100均のお店を模したセットに「買い物客」として入っていった。
コーナーは、おばさん風に女装した芸人達のトークからスタートした。
「あら?あの人たち、俳優の敦賀蓮と京子じゃない?」
「うそーー?そんな人たちが、こんな店にくる?」
「世の中不景気だからねぇ。実はゴージャススターも、内実は火の車で、日用品はこういうとこで買ってるのかもよ?」
「ええーー!敦賀蓮が100円のコップでお酒飲んだり?100円の下着つけたり、100円のボディクリーム使ってるかもってこと??」
「「「「ナイナイ!!」」」」
「ここには、たまーーーに高いものも売ってるし、それ狙いじゃない?」
「あ、何か選んでるわよ。何買うか、見ときましょうよ!」
最初にゲームに挑んだのは京子で、なんの迷いもなく、「これにします」と、100均の可愛らしい柄の小皿を手にレジへ向った。
その後も、「これはいいお皿ですねぇ。でも、今の家に古伊万里じゃあ宝の持ち腐れなんで」とかなんとか言いながら、それを置き、変わりに100均の派手な大皿をレジに運び、次は、「これアンティークですよね。可愛いけど・・・・・・・・・・・こちらにします」と、同じく一見レトロに見える100均のマグカップを選び、3戦3勝でチャレンジを終えた。
自分の番を実に危なげなく終えたキョーコだったが、その目は不安げに次のチャレンジャーである先輩俳優に向けられていた。
その先輩の1回目のチャレンジは。
いやーーー!敦賀さん!そんなの持ち上げないで!!な、何故私の方を向いて満面の笑み?
「それは高そうですよ?ほ、他のものを」
小さな声で囁いてみるが、先輩俳優は応えるように頷いたくせに、それを手にレジに向ってしまった。
「ピッ!38万円でございます。こちらは、今、セレブに大人気なイギリスのアクセサリー作家リチャードの髪留めで、すべて天然石、台はアンティークのものを使用した、1点ものでございます」
それを聞いて
「ああ!!」と叫んだキョーコが顔色を悪くすれば、
芸人達は
「流石セレブねー!」と拍手を送る。
蓮はにこにこしながら、代金を支払い、その「高級すぎる髪留め」を京子の髪につけた。
「うん、凄く似合うよ」
「つ、敦賀さん、何で私につけるんですか!こんな高級品!冗談でも身につけるのは怖いですからやめてください!それと、100円の商品を選ぶんですよ?さっき説明しましたよね?」
「怖いだなんて失礼な。ゲームのことはわかってるよ?でも、これ君にピッタリだと思ってね」
「あら?どうしたのかしら?なんだか揉めてるわよ?」
「あ、でも、また買い物を始めたわよ?次は何を買うのかしら?」
「つ、敦賀さん、それも明らかに高いですよ?」
「うん、そうだね」
「早く、それを置いてください。その横の奴はセーフですから、そちらを是非」
「これ、いい色だよね」
「ですね、でもどうみても100円じゃないですから、それは駄目です」
「うん、絶対似合う」
「だから、敦賀さん何を・・・・・・・・・・・って、レジに向うならこっちのを!!」
当初は後輩として黙って蓮の買い物を見守るつもりの京子だったが、もう黙っていられなかった。が、必死の制止にも関わらず、蓮が選んだものは。
「ピッ!83万円でございます。こちらはアメリカの人気ブランド、キャリーのプラチナネックレスです。このペンダントトップの天使の目はダイヤでできていまーす」
最後は。
「ピッ!130万円でございます!コーナー最高額!あの有名なレノアのブレスレット。このシールを剥がすと刻印が・・・・・・・・・・・ほら!あるんですよ」
「流石ゴージャススター!!3点目も涼しい顔して払ってたわよぉ!!」
「あれ1つで、軽自動車が買えるわよね」
「3つで251万円!うちの息子の年収だわー!」
結局3回のチャレンジすべてで高級品を選んでしまった(?)が、その値段に驚く事もせず、いつも以上に爽やかに、ご機嫌な様子で支払いを済ませた蓮に、芸人達が賛辞を贈りまくることで、そのコーナーは閉じた。
収録後、すぐ様髪留めを外し、蓮に押し付けたキョーコだったが、お小言をいう前に、時間がないからと待ち構えていた次の仕事の現場のスタッフに連行されてしまった。
キョーコの後ろ姿を見送りながら、髪留めを手で弄んでいた蓮が
「またあとでね」
というキョーコ的に嫌な予感しかしない言葉を発していたことには気づかずに。
そして、その日の夜。ラブミー部の仕事で、蓮の家に晩ご飯を作りにきていたキョーコは、番組で「蓮が買ってしまった高級アクセ3点」と、何故かプラスアルファーされた洋服数着を、強制的に受け取らされる羽目になったのだった。
「敦賀さん、100円の商品選ぶ気ありましたか?」
「うん、あったよ?でも、あれもこれも、君に似合いそうだったからね?」
この数ヶ月後、先輩俳優との交際を始めてからも、聞かされ続けることになるとは知らない、
「君に似合いそうだったからね?」
という甘くて危険な言葉を。
この夜には、ただただ、諦めモードで聞いたのだった。
fin