いつから放置してるんだかもう記憶にない、ブログ開設3日目に仕掛けた罠への自爆ドボン作。読み直すだけでは書けない気がしてきたので、修正しながら1話から順にアップしていきます。

素敵な獲物さん作でなくて、ほんと申し訳ないです。(´・ω・`)

魔人の作なんて、興味ないし!という99パーの方はバックプリーズ。

暇つぶしのために読んでやるぜ!という勇者さんのみ読んでくださいね。(;´▽`A``



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逃げる彼女をつかまえろ!第20話


「また、敦賀さんからだわ……どうされたのかしら……」

お風呂から上がったキョーコを出迎えたのは、点滅し、着信があったことを知らせる携帯電話。

手に取って確認すれば、相手はいつものように、蓮だった。

以前から一日最低一回は必ず入っていた、過保護な先輩からの電話。残念ながら、ほぼ通話は叶わず、携帯電話の留守録機能を利用して、お互いにメッセージを残しあうだけのものではあったが。

今もそれは同じだ。変わったのはその回数である。

キョーコの携帯には、毎日数回はまとめ聞きしなければならない程のメッセージが入れられるようになっていた。

返事に困る内容のものが多く、時間がないこともあって、それまでは1回づつ律儀に返していたキョーコからの返信数はずっと少なめになった。←何入れてんでしょ、あの男は。

「夜中とか早朝とか……ちゃんと寝てないんじゃないかしら……」

以前も朝と夜にかかってくることが多かったが、24時過ぎや早朝の3時や4時の、世間で言うところの常識外の迷惑な時間帯に毎日かかってくることなどはなかった。←早朝はともかく、仕事柄24時過ぎは、たまにはあった模様。

そういえばと、思い返してみれば、今回の共演で久々に会うこととなったあの「顔合わせ」のときの様子もおかしかった。

ああいう蓮を見たこと自体は初めてではない。セツを演じて以来、頻繁に見せられてきていた。

しかし、今思えば、あんなに大勢の人がいるところであの気配を見せられたのも、社の前で甘えられたのも、初めてだったのではないだろうか。

子供みたいに拗ねたカイン丸を宥める羽目になったのは記憶に新しい筈だが、慣れとは恐ろしいもので、あんな接触のあとでも、昔のように何日も思い出して悶々とすることはなくなってしまっていた。

以前のキョーコなら、ちょっとしたことで、すぐに敦賀の坩堝に嵌っていたのに、あの日、久々に抱っこされて、ギュウっと抱きしめれたことも、キュンとなってしまったことも、当日の夜に思い返しただけで終わっている。

(もしかしたら……?)

もしかして、蓮も何かの坩堝に嵌っているのだろうかと、有り得ない想像をして笑ってしまった。←いえ、ある意味正解です。

(んーと。坩堝はないとして……寂しい……とか?)

たまに必要とされていると感じることはある。

でも、あの敦賀蓮が心底自分を必要としているだなんて考えるのは烏滸がましい。

(誰かに会いたいけど、会えないからとか?)

誰かを恋しくなってしまったときに、セツを演じた関係で、甘えられるようになったのだろうというのがキョーコが出した結論だ。

彼が会いたいのはキョーコだけだなんて、想像もしていない乙女の想像は、いつも近くて遠い。

(あのヒトは強いけど、脆いから……)

誰にも見せられない弱った姿をキョーコの前では晒してくれる、あのヒト。

でも、喜んではいけない。勘違いしてはいけない。

セツを演じて側にいたときには、あの弱さを隠すことすら出来ない状態だった様に思う。

だから……。

(私は安全パイ?)

既に秘密を知ってしまった自分には、隠しても今更である。だから、弱ったときに頼ってくれるようになったのかもしれない。

弱さを晒しても、平気な相手として。

(キョーコさんには、まだ告白していないのかしら?)

実は坊の仕事は1年程前に卒業していた。今は大きなシロクマのおじいさんが、新キャラクターとしてあの番組で活躍している。

ーーキョーコには知らされていないことだが、キョーコが坊として人外の動きを見せすぎたせいで、誰か他の人間が入ればいいという簡単な話しではなくなってしまった為の、キャタクター変更であった。現在は大柄な男性がのっそりとした動きのおじいさんグマを、ユーモラスに演じている。ーー

坊として、敦賀蓮の悩み相談を受けることはなくなった。

後輩の最上キョーコとしては、相談などしてもらえる筈もなく、現在の彼の悩みなどはわかりようがなかった。

(早く告白して、キョーコさんに甘えればいいのに)

そう、心にもないことを一生懸命に願う。願わねばならない。

(でも、お世話になりっぱなしだし……電話でお相手するぐらいで少しはお役にたてるなら……まぁ、いっつも留守電だけど……)

恩返しはいつかしなくてはならないと思っている。
しかし、いつするのか、どこまで何をすればいいのか。

そもそも、詰めに詰めた現在のスケジュールは、あの過保護がすぎる先輩から卒業するために埋め始めたようなものなのだ。

彼から自立し、大人の女性を目指している最中の今、「食事を作ることも、お話することも」御法度なのではないだろうか。

あのヒトの前ではつい愚かな想いを表に出してしまいそうになる自分が怖くて仕方が無い。

何年も「特別な振り」をされ続けた結果、遠い存在である筈の大スターが、身近に感じられる人になってしまったことが嬉しくて……辛かった。


(もう、これ以上は危険なのに)



結局、今できることはたったひとつだった。





<21>に続く


蓮さんの欲求不満は解消されそうにないですね。(;´Д`)ノ!
次回どーーなるのでしょうねw


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