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意味不明な話です。そんな話は嫌ん!な方はバックプリーズ!!
Y(>_<、)Y


なんとなくな小話
「夢幻 前編」


夢の様な世界。

この1年というもの、私が生きてきた世界はまさにそんな世界だった。


敦賀さんが “あのコーン” であると知って。

“あの敦賀さん” に “愛” を告げられて。

才能もないのに、 “この演技の世界” で、活動することを許されて。

大好きなお芝居を沢山、沢山できて、幸せだった1年。


敦賀さんからは、綿菓子にように膨らんだ、脳味噌まで蕩けてしまいそうな甘い愛を沢山貰って。

フワフワと夢見心地で過ごした月日。


───だけど私は知っている。

夢はいつか覚めるということを。


今は、敦賀さんも世間も、私と同じように夢の世界を楽しんでくれている。

でも、もしも。

もしも、彼等の夢が先に覚めたら?

多分、いや、きっと……

馬鹿な私を待ち受けているのは、奈落に沈む運命だけであろう。


まだ甘い夢の世界にいるというのに、頭に響くのは、身の程知らずな女に飛ぶ罵声。


───だから。


私は夢の世界から先に脱出することを決めた。

最後の仕事は、恋愛映画。

その仕事に持てる力と諦めきれない演技への想いをすべてぶつけた。

欠片程もそれらを残す必要などないのだから、一滴も残さず絞りきる覚悟で望んだ。

そして。

まだ夢の中にいる以上、頑張ったとも言えるその行為が評価されない訳がなかった。


その映画で、私はまた女優としての地位を上げることになった。

この夢は、最後の最後まで、私を甘やかしてくれる気のようだ。



ラブミー部卒業後も、社長のプロデュースを拒み、マネージャーをつけることを拒んだ私のスケジュールは、今このときの為に、コントロールしてきた。

椹さんにさえ納得してもらえれば、仕事の選択もスケジュール管理も自分の想い通りに進めることができたのは、いつのまにか入り込んだ夢の世界を楽しみながらも、本来の半人前の立ち場を守り続けた私へのご褒美とも言えるかもしれない。


以前に演じた通訳の役。

その役に私は自分の未来を重ねた。

料理は得意だが、ちょっと出来る位では、食べていけない。

でも、あの役のように母国語以外に3カ国語程マスターしていれば、海外で仕事をすることも可能だ。

4カ国語、5カ国語に増やすことはできなくても、専門用語まで駆使出来る様になれば、仕事の幅もぐんとひろがる。

お世辞の通じない仕事。

わかりやすい実力。

相変わらず空っぽな現実世界の私も、努力と根性で得ることが出来そうなその力に私は憧れた。

語学という、努力と根性で身につけられるものがある世界……

その世界に。

───未来への望みをかけたいと思った。


“努力と根性”

自分という人間が出来ることはそれだけ。

「根性だけでいつまでも事が運ぶと思うなよ」

過去、私がまだ辛い現実の中で息をしていた頃……共に甘い夢に入り込む前の敦賀さんに言われた言葉。

なのに、その時否定された “根性” が及ばない芸能世界に何故か在籍し続けている私。


しかし、夢が覚めてしまえば、ここは即座に根性ではやっていけない世界に戻る筈だ。

ならば、やっていける場所に移るしかないではないか。


多分、私の世界は元々そちらにあるのだろうと思う。
移動する寂しさはあっても、不安は湧いてこなかったから。

甘すぎる夢からこっそりと一人目覚めようとしている私は、「演技の為の語学留学」をする為に期間未定の休業を申し出た。

本当は引退だけど、静かに消えるなら休業扱いの方がいいと判断したのだ。

───今、私は沢山のフラッシュを浴びながら、外国の映画祭での主演映画の高評価についての質問を浴びている。


後編&おまけに続く。


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