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「愛の言葉は難しい 20-side Yashiro-」

───え?今の病院の先生の電話って、キョーコちゃんのこと?も、もしかして病気?

椹には教えてもらえなかった “京子の情報” を偶然耳にすることが出来た社だったが、その内容は到底喜べるものではなかった。

自分も可愛いと思っているキョーコのことである。担当俳優の為だけではなく、もっと詳しい情報を聞きたいと思ったが、今引き返したところで、教えてもらえないことはわかっている。

ならば方法はひとつ……。

タレント部の入り口付近で止めていた足をそっと前に進め、ドアの影に身を潜めた。

立ち聞きを見咎められた時の為に、手袋をつけ、カモフラージュの為の携帯電話を耳に押当てるのも忘れない。


「主任、TSSのグルメ屋本舗キッチンの方、麻田優子でオッケー取れました!今からマネージャーの岸に連絡入れます」

「そうか。あとはどうだ?」

「Yテレビのコメンテーターと朝ご飯のコーナーは吉川ゆりと佐藤進の週代わり制でオッケーです!各マネージャーにも連絡済みです」

「よし」

「FTテレビの番組会議に参加中の渡辺から連絡が入りました。お天気のコーナーはバックスの演奏付き企画が通ったそうです。今は、うちが提出した大卒タレントでコメンテーターとして出演可能な者のリストを検討中ということです」

「よし、決まったらそれも即関係者に連絡いれていけよ」

「はい!」

「BB出版とG文庫の件はどうしますか?」

「あれは代替ってのは無理そうだし、今回は断ってくれ」

「明日の京子のスケージュール調整終わりました!海外スターとの対談モノ1本とドラマの撮影以外は変更できました」

「まあ、それぐらいは仕方ないな。京子についてる加藤に連絡しといてくれ。あいつには当分臨時マネージャーをさせるから!あと雑誌の取材関係は昨日全部手配済みだよな?抜けてないかチェックしておけよ!」

「新規企画のバラエティや報道のも本当に全部断るんですか?大きな仕事ばっかりなんですけど……」

「社長命令だ。女優業以外は当分休ませる。どうせそろそろ移行していく予定だったしな。新規は全部丁重に断ってついでに他のタレントの売り込みをかけておけ!今現在スケジュールに入っているものも代替が利くものは全部他のタレントを放り込め!相手が喜ぶ様なエース級のを選んでな!」

ドアの影に隠れて盗み聞きという、怪しい行動をしているにもかかわらず、その見た目と手にしている携帯電話により、通行人に不審に思われずに済んでいた社だったが、その顔は滅多に無い程の強張りを見せていた。

───いったい、何があったんだ?

実際に何があったのかはまだわからない。しかし、社の耳に次々と入ってくる情報により、推測すらする必要がないほど確かなことがひとつだけあった。

───キョーコちゃんは、何か深刻な身体の問題を抱えているってことか?

自身が出したその結論にショックを受けながらも、社は自分の本日の職場であるロケ現場へと向かうことにした。

先に現場入りしている担当俳優にこのことをどう話すべきかと頭を悩ませながら。

21話に続く。

キョコさん、ダイジョーブでしょうか。(TωT)


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