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「愛の言葉は難しい 31-side R&Y-」

「えーと……10個です」

社から、キョーコが持ち帰った「キノコのリゾット」の数を聞かれた蓮は、気まずげに視線を逸らしながら答えた。

「10個?随分多いな……それで半分位だったりするのか?」

「いえ、10個貰って、10個全部を持ち帰られたんです」

社の更なる問いに、言いたくなかった真実を明かした蓮は、これから来るであろう小言を想像し、溜め息をついた。

───最上さんにあんなに手間を掛けさせたくせに、キチンと食事していないことがバレちゃったな。

叱られることを覚悟して、逸らしていた視線を助手席に戻した蓮だったが、小言はなかなか始まらなかった。

「あの?社さん?」

「……お前、馬鹿だろ?」

何故か助手席で頭を抱えていた社の口から最初に出たのは小言でも文句でもなく、これだった。

「は?酷いですね。いきなりなんですか?そりゃあ、ちゃんと食事していなかったことは事実ですけど……」

「いや、今それはどうでもいい」

「え?怒らないんですか?」

「怒ってるに決まってるだろう!」

「はぁ……?そうですか……」

「食事をとるとらないにじゃないぞ!?お前の馬鹿さ加減と、最低振りに俺は猛烈に怒ってるんだ!!」

「馬鹿で最低って……幾らなんでも、ちょっと酷過ぎませんか?」

「まだわからないのか?」

「何がですか?」

「……食べたいってキョーコちゃん相手に駄々捏ねまくったんだろ?なのにどうして食べなかったんだ?」

「そもそも本当に食べたい訳じゃなかったですし、あれを見るとなんだかブルーな気持ちになっちゃって……」

「はぁ?」

社の眉間にグッと皺が寄ったが、それには構わず蓮は心の中に溜め込んでいた不満を吐き出した。

「だって、俺が欲しかったのは最上さんと過ごす時間で!食事はそのついでみたいなものなんですよ?いや、彼女の料理は美味しいですけどっ!でも本人がいないのにあんなに沢山の保存食があったら、それがある間ずっと会えないって言われてるみたいじゃないですか!?しまいにはなんだか保存食が憎く思えてきて、食べる気なんてまったくおこりませんでしたよ」

「……お前の気持ちはわかった」

「あ、ありが」「馬鹿蓮!」「え?」

「お前、やっぱり最低の馬鹿野郎だ。加藤さんの言う通り、お前は当分の間キョーコちゃんに会わないほうがいい。っていうか、会う資格ないな」

厳しい顔つきの社が下したジャッジは、蓮が納得できる内容のものではなかった。

「!どうしてですか!?」

「自分のことしか考えてない男に好かれたって迷惑なだけだ。キョーコちゃんはお前の母親じゃない」

「?俺は別に最上さんを親だなんて…」

「同じことを親にした場合は、そう気にせず流してもらえたかもしれないけどな……キョーコちゃんは自分に否があるって考えて、どうしてそうされたのか考えちまうだろうな。嘘をつかれた原因も全部自分のせいにしてさ」

「さっき話した様に、無理難題を吹っかけて最上さんを追い詰めたのは俺が悪いと思います。食べたい訳じゃないものを頼んだことも悪いと思ってます。でも、それがどうして最上さんのせいになるんですか?」

「頭痛がしてきたぞ……胃も痛い……これもお前のせいだな」

見せつけるように、頭と胃をさすりながら、睨んできた社に、蓮も不機嫌な顔を隠さず応対する。

「ちゃんと教えてくださいよ!」

「馬鹿に答えだけ教えても、また同じこと繰り返すだろうが!」

この押し問答は次の現場に着くまで続いたが、結局この日、蓮が答えを知ることはなかった。

32話に続く。

してもらうことになれた蓮さん。勘はいい筈なのに、こういうときには、ピンとこないのです。( ̄▽ ̄;

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