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「愛の言葉は難しい 36-side Yashiro-」
午前中にテレビ関東の朝の番組2つに梯子出演した蓮を連れ、ついでに局内のカフェで食事をとることを決めた社は、己のその選択を後悔することになった。
───昼飯なんて、いつもの様にコンビニで買えばヨカッタじゃないか!どうしてたまには少しまともな飯を!なんて考えたんだ俺!!あああ、れぇんがぁああ!
芸能人との打ち合わせ利用を想定して作られた半個室型のカフェスペース。オープンな一般社員向けの場所とは折戸タイプの仕切りで隔てられたそこに、彼女達はいた。
通路側は1メートル程の開口部を除いて半透明の硝子とグリーンで目隠しされ、隣あった部屋同士は濃色ダブルガラスで間仕切られているそこ。
通常なら覗き込まない限り、誰がいるのかなんて気付かないだろう。
しかし、遠目にでも部屋に入るところを目にしてしまえば話しは別だ。
数人のスタッフと共に加藤とキョーコがそこに入っていくのを見た蓮は、社の制止虚しく、隣の部屋へと入っていった。
仕方が無く、こそこそとその後に続いた社は、トレーの上の食事などガン無視で、ほとんど見えない壁の向こうを凝視している担当俳優の姿を見て、不安になっていた。
───こいつ……我慢しきれなくなって隣の部屋に乱入とか……しないよな?
小声で話せば、半個室であろうと、それなりの防音性能を誇るそこの声を聞き取るのは困難だ。
しかし、隣の部屋の女性達は実にオープンに会話を進めてくれている為、耳を澄まさなくとも、廊下側から漏れ聞こえる声でしっかり会話の内容を掴むことが出来た。
濃色ダブルガラスの間仕切りにうっすらと浮かぶシルエットと漏れ聞こえる声でキョーコがどこに座っているのかもわかる。
行動も。
「じゃあ、京子ちゃんここでネイルしちゃうから、手は動かさないでねー。あ、食事もどうぞ、進めてもらっちゃってくださいな」
「ついでに、来週の衣装選びもよろしくお願いしまーす。とりあえず候補の写真見せていきますので!」
「はい!すみません、お気遣いいただいちゃって」
「ほんと、時間ないので助かります。そんな訳で。ほら京子、あ~ん!」
「ま、まだ自分で食べられます!」
「あ、京子ちゃん反対の手は私がするから、それは無理!両手使えないしね~。諦めてマネージャーさんに食べさせ得てもらって頂戴!あ、目は前の写真見ててね~!!」
テーブルのコーナー部分にキョーコ。その左手にネイルを施す者、右横にマネージャー、その横に右手のネイル係、正面に写真係が座っている様だ。
雛鳥の様な食事をしつつ、両手を固定されたまま、写真チェックをしているキョーコはなかなか大変そうである。
「右手伸ばし続けるの苦しいだろうけど、もう少し我慢してね~!」
「ふぁい、だいひょうぶです」
「ぶふっ!京子ちゃん可愛い!」
「すみまふぇん」
「京子、飲み込むまで返事しなくていいって!」
それに応じ、キョーコのシルエットの首がコクコクと動くのが見える。
「はい、あ~ん」
パクッ、むしゃむしゃむしゃ。
むしゃむしゃむしゃ。ごくん。
流石にこの音は聞こえてこないが、影絵の芝居の様なシルエットを眺めているうちにしっかり脳内で補完されてしまうから不思議だ。
───蓮の奴、顔に羨ましいっていう思いが滲み出てやがる!ていうか、お前も食事しろよなー!
「はい、右手は一旦乾かすので、その間に休憩してください。あ、物持っちゃ駄目!テーブルに置いておく感じで!」
「あ、左も同じです」
「はい!」
「ほら、次!あ~ん!」
「もう、加藤さん、それ大き過ぎです!」
「気にしない!頑張れ!」
「頑張れー!」
加藤とすかさず声を合わせてくるスタッフに遊ばれている感じのするキョーコである。
「よし、出来上がり!じゃ、最後のスペシャル仕上げはスタジオで撮影しますから、15分したら来てくださいね。あ、あと5分は何も触っちゃ駄目ですからねー!」
そうこうするうちに、番組でお披露目するらしい話題商品「家で出来ちゃうプロネイル」とやらが出来上がり、ネイル担当者達は去っていった。
どうやらこのあと直ぐに撮影があるらしい。
その15分の間に残った衣装スタッフとの打ち合わせも無事終わり、今は加藤とキョーコのみがそこに留まっていた。
しかし、挨拶をする訳にもいかない蓮と社は、ただ黙って隣室で「盗み聞き」を続けることしか出来ない。
「これと、これ、受けていいのね?この話はどうする?うん、オッケー。じゃスタジオに向かう前に、事務所にメールいれとくから、3分待って!」
「はい!って、加藤さんも食事!はい、あ~ん!」
パソコンで事務所へのメールを打ち出した加藤に寄り添う様に座っていたキョーコが、嬉しそうに先程の仕返しをしていた。
「お、サンキュー、あ~ん」
それに、加藤は動じることなく……当然の様に応じている。
───嗚呼!蓮の顔がぁああああ!なんて情けない顔に!!
その後、蓮と社が潜んでいた部屋の前を通り過ぎた二人の親し気な様子を「生」で確認した社の担当俳優は、その後数日間に渡り、ブチブチと文句をたれていたという。
37話に続く
次はそろそろ蓮さんターン?
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午前中にテレビ関東の朝の番組2つに梯子出演した蓮を連れ、ついでに局内のカフェで食事をとることを決めた社は、己のその選択を後悔することになった。
───昼飯なんて、いつもの様にコンビニで買えばヨカッタじゃないか!どうしてたまには少しまともな飯を!なんて考えたんだ俺!!あああ、れぇんがぁああ!
芸能人との打ち合わせ利用を想定して作られた半個室型のカフェスペース。オープンな一般社員向けの場所とは折戸タイプの仕切りで隔てられたそこに、彼女達はいた。
通路側は1メートル程の開口部を除いて半透明の硝子とグリーンで目隠しされ、隣あった部屋同士は濃色ダブルガラスで間仕切られているそこ。
通常なら覗き込まない限り、誰がいるのかなんて気付かないだろう。
しかし、遠目にでも部屋に入るところを目にしてしまえば話しは別だ。
数人のスタッフと共に加藤とキョーコがそこに入っていくのを見た蓮は、社の制止虚しく、隣の部屋へと入っていった。
仕方が無く、こそこそとその後に続いた社は、トレーの上の食事などガン無視で、ほとんど見えない壁の向こうを凝視している担当俳優の姿を見て、不安になっていた。
───こいつ……我慢しきれなくなって隣の部屋に乱入とか……しないよな?
小声で話せば、半個室であろうと、それなりの防音性能を誇るそこの声を聞き取るのは困難だ。
しかし、隣の部屋の女性達は実にオープンに会話を進めてくれている為、耳を澄まさなくとも、廊下側から漏れ聞こえる声でしっかり会話の内容を掴むことが出来た。
濃色ダブルガラスの間仕切りにうっすらと浮かぶシルエットと漏れ聞こえる声でキョーコがどこに座っているのかもわかる。
行動も。
「じゃあ、京子ちゃんここでネイルしちゃうから、手は動かさないでねー。あ、食事もどうぞ、進めてもらっちゃってくださいな」
「ついでに、来週の衣装選びもよろしくお願いしまーす。とりあえず候補の写真見せていきますので!」
「はい!すみません、お気遣いいただいちゃって」
「ほんと、時間ないので助かります。そんな訳で。ほら京子、あ~ん!」
「ま、まだ自分で食べられます!」
「あ、京子ちゃん反対の手は私がするから、それは無理!両手使えないしね~。諦めてマネージャーさんに食べさせ得てもらって頂戴!あ、目は前の写真見ててね~!!」
テーブルのコーナー部分にキョーコ。その左手にネイルを施す者、右横にマネージャー、その横に右手のネイル係、正面に写真係が座っている様だ。
雛鳥の様な食事をしつつ、両手を固定されたまま、写真チェックをしているキョーコはなかなか大変そうである。
「右手伸ばし続けるの苦しいだろうけど、もう少し我慢してね~!」
「ふぁい、だいひょうぶです」
「ぶふっ!京子ちゃん可愛い!」
「すみまふぇん」
「京子、飲み込むまで返事しなくていいって!」
それに応じ、キョーコのシルエットの首がコクコクと動くのが見える。
「はい、あ~ん」
パクッ、むしゃむしゃむしゃ。
むしゃむしゃむしゃ。ごくん。
流石にこの音は聞こえてこないが、影絵の芝居の様なシルエットを眺めているうちにしっかり脳内で補完されてしまうから不思議だ。
───蓮の奴、顔に羨ましいっていう思いが滲み出てやがる!ていうか、お前も食事しろよなー!
「はい、右手は一旦乾かすので、その間に休憩してください。あ、物持っちゃ駄目!テーブルに置いておく感じで!」
「あ、左も同じです」
「はい!」
「ほら、次!あ~ん!」
「もう、加藤さん、それ大き過ぎです!」
「気にしない!頑張れ!」
「頑張れー!」
加藤とすかさず声を合わせてくるスタッフに遊ばれている感じのするキョーコである。
「よし、出来上がり!じゃ、最後のスペシャル仕上げはスタジオで撮影しますから、15分したら来てくださいね。あ、あと5分は何も触っちゃ駄目ですからねー!」
そうこうするうちに、番組でお披露目するらしい話題商品「家で出来ちゃうプロネイル」とやらが出来上がり、ネイル担当者達は去っていった。
どうやらこのあと直ぐに撮影があるらしい。
その15分の間に残った衣装スタッフとの打ち合わせも無事終わり、今は加藤とキョーコのみがそこに留まっていた。
しかし、挨拶をする訳にもいかない蓮と社は、ただ黙って隣室で「盗み聞き」を続けることしか出来ない。
「これと、これ、受けていいのね?この話はどうする?うん、オッケー。じゃスタジオに向かう前に、事務所にメールいれとくから、3分待って!」
「はい!って、加藤さんも食事!はい、あ~ん!」
パソコンで事務所へのメールを打ち出した加藤に寄り添う様に座っていたキョーコが、嬉しそうに先程の仕返しをしていた。
「お、サンキュー、あ~ん」
それに、加藤は動じることなく……当然の様に応じている。
───嗚呼!蓮の顔がぁああああ!なんて情けない顔に!!
その後、蓮と社が潜んでいた部屋の前を通り過ぎた二人の親し気な様子を「生」で確認した社の担当俳優は、その後数日間に渡り、ブチブチと文句をたれていたという。
37話に続く
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