魔人の駄作は受付NGな方は、バックプリーズ!!(・∀・)

愛の言葉は難しい 1 / 2 / 3 / 4 / 5 / 6 / 7 / 8 / 9 / 10 / 11 / 12 / 13 / 14 / 15 / 16 / 17 / 18 / 19 / 20 / 21 / 22 / 23 / 24 / 25 / 26 / 27 / 28 / 29 / 30 / 31 / 32 / 33 / 34 / 35 / 36 / 37 / 38 / 39 / 40 / 41 / 42 / 43 / 44 / 45


「愛の言葉は難しい 46-Ren-」

「お招き頂き有り難かったねぇ?そんなに気を遣ってくれなくていいよ。君を食事に招いたこちらが悪かった。敦賀君にはうちで出したものなんて、口に合わないみたいだしね」

「そんなことはっ!」

「…ANTIPASTOもほとんど食べてないし、PRIMO PIATTOには口をつけてもいない。好みに合わないのだろうと代わりに出したSECONDO PIATTOもね。君は何しにここに来たんだ?」

キョーコが作ったものが口に合わない筈がない。強い口調で反論しようとした蓮だったが、それはミナトの指摘により遮られた。

「!……それはっ、でもっ!」

確かに食べた記憶はない。

だが、蓮はキョーコの手料理を食べにここに来た訳ではない。キョーコに会う為に来たのだ。

キョーコが直ぐ側にいる空間で他のことを意識するのは難しかった。例え、今やっとその非礼に気付いたとしても、キョーコと以前の関係に戻りたいという強い願いの前では、この自分のミスさえ、どうでもよいことのように思えてしまう。

「でも?」

「それはっ、失礼なことをしたと思います。謝ります。でも、俺は最上さんに会いに来たんです!」

思わず出た本音。それに焦ったのは彼のマネージャーである社である。

「蓮、おまえ!!」

だが、その焦りが滲み出た制止の声も、思い詰めた彼の担当俳優を止めることは出来なかった。

「最上さんはどこですか?どうして戻ってこないのですか?」

「蓮!」

「……才能ある俳優に優秀なマネージャー。いいコンビだよな」

「え?」

「でも、俺と京子には関係のない人間だ。食事に招いたことを後悔してるよ。社には非はないが、これも仕事のうちだと思って、その馬鹿男を連れて帰ってくれ」

「加藤さん、すみません!!この馬鹿蓮!今日は何の為に呼ばれたと思ってるんだ!?お前の役目は何だ!」

「俺の役目?」

そう言われてみれば、そもそもキョーコと会えなくなった原因は自分にあると言われていたことを思い出した蓮である。

だが、謝るにしても、ここ数カ月考えに考えても見当すらつかなかった問題である。

今回、家に招かれたことで、原因は直接本人に聞いて、その上で謝罪すればいいと蓮は考えてしまった。

だから、キョーコと会話することだけを目標にここを訪れていたのだ。

「俺は、誤解を解きに来たんです!最上さんとちゃんと話せば、誤解は解ける筈なんです!食事のことは申し訳なかったです。食べろというなら、あとで食べますから、最上さんと話しをさせてください!」

その言葉を聞いて、ミナトの顔から怒りが消えた。

「聞けばわかる、か。覚悟もない人間には楽な方法だよな。……俺には救いようがないように思えるんですが、社長はどう思われます?」

可哀想な子、いや、馬鹿男を見つめるそれは、まさに憐憫の眼差し。

「そうだな……もう、馬鹿は仕方が無いことと認めて、最上君の為に我慢してやってくれねぇか?」

「えーー!嫌だなー!キョーコのあの問題に関しては、育ての親の板長や、だるま屋の大将、沢山の名立たる一流シェフの協力のもと、解決したも同然ですし、この馬鹿のことは、金持ちセレブバカボンスター俳優の気まぐれで処理しても問題ないですよ?」

今回の問題の原因をしっかり把握している社にとっては、マネージャーとして恥ずかしいとしか言い様のない指摘と、はいそうですねと認めたくなる尤もな意見である。

一人今だ状況が飲み込めていない蓮は、突然変わった場の雰囲気に困惑していた。


47につづく。

蓮さん試験に落第?

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