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『ライバル』

さわさわさわさわ
さわさわさわさわ

家のソファーで寛ぐ彼女。

その膝の上にあるのは、最近お気に入りのクッション。

触り心地が良いとかで、背もたれに使うことなどぜず、いつも彼女の膝の上に収まっている。

さわさわさわさわ
さわさわさわさわ

テレビを、見ながら。

珈琲を飲みながら。

会話をしながら。

彼女の右手はそのクッションの上を行き来している。

さわさわさわさわ
さわさわさわさわ

なんだかムカつく、その音。

なでなでなでなで
なでなでなでなで

俺にだけこう聞こえるせい?

───撫でるなら、他にもっとイイモノがあるデショ??

そう思った俺は、彼女の手とクッションの間にそれを突っ込んだ。

「ふふふっ」

頭の上から聞こえる、彼女の笑い声。

なでなで サラサラ
なでなで サラサラ

───うん、もっと撫でて?

彼女が触り心地抜群と褒める俺の髪。

それを頭ごと差し出した俺は、ムカつくクッションをさりげなく自分のお腹の上に移動し、手だけでなく膝の上を取り返すことにも成功した。

なでなで サラサラ
なでなで サラサラ

頭の上を心地よいリズムで動く彼女の手。

なでなで サラサラ
なでなで サラサラ

───うん、気持ちがいい。なんだか眠くなってきたかも…

眠気により朦朧としてきた意識に逆らい、安全ベルトを締める。

風邪を引いちゃうからと、彼女が毛布を取りに行ったり出来ないように。

自分の代わりにと、あのクッションを枕として充てがわれることを阻止するために。

───俺はここで寝たいんだ。

彼女の腰に手を回し終えた俺は、やっと安心して眠気に身をまかすことができた。

Fin

大きなワンコ蓮さん。
ナデナデは、自分の頭だけにしてほしいそうです。
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